臨床分離緑膿菌に対するグルコン酸クロールヘキシジン及び塩化ベンザルコニウム耐性の試験管内誘導

臨床分離緑膿菌178株について手指消毒剤として常用されているグルコン酸クロールヘキシジン及び塩化ベンザルコニウムの殺菌効果について検討した。クロールヘキシジンの178株の臨床分離緑膿菌に対するMICの分布は312μg/mlにピークのある1峰性で, 全てクロールヘキシジン感受性で耐性株は1株も検出されなかった。試験管内での耐性誘導によっても, これらの株から耐性化した菌株は1株もなく, 緑膿菌はクロールヘキシジン感受性で, 耐性化しにくいことが確かめられた。塩化ベンザルコニウムの臨床分離緑膿菌に対するMICの分布は, 625μg/mlにピークをもつ感受性菌株と5,000μg/mlにピークをもつ耐...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 202 - 206
Main Authors 杉田, 光章, 倉茂, 達徳, 甕, その子, 栗原, 友正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.03.1993
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.67.202

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Summary:臨床分離緑膿菌178株について手指消毒剤として常用されているグルコン酸クロールヘキシジン及び塩化ベンザルコニウムの殺菌効果について検討した。クロールヘキシジンの178株の臨床分離緑膿菌に対するMICの分布は312μg/mlにピークのある1峰性で, 全てクロールヘキシジン感受性で耐性株は1株も検出されなかった。試験管内での耐性誘導によっても, これらの株から耐性化した菌株は1株もなく, 緑膿菌はクロールヘキシジン感受性で, 耐性化しにくいことが確かめられた。塩化ベンザルコニウムの臨床分離緑膿菌に対するMICの分布は, 625μg/mlにピークをもつ感受性菌株と5,000μg/mlにピークをもつ耐性菌株の2峰性を示した。耐性菌に属する緑膿菌は, 検討した178株中の28株 (15.7%) であった。残る感受性の150株について試験管内での耐性の誘導を試みた結果, 6株 (4.0%) に耐性化が見られたが, 耐性化株に対する塩化ベンザルコニウムのMICは臨床分離の耐性株に比して低かった。また, 臨床分離株中の耐性株については, それ以上高い耐性の獲得は認められなかった。これらの成績は, 緑膿菌の院内感染を予防する上でクロールヘキシジンを使用すれぽ, 耐性株の出現も少なく長期使用が可能なことを示唆している。塩化ベンザルコニウムも0.5%の濃度で使用すれぽ同様に有効に使用できることが示唆された。
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.67.202