本邦深在性真菌症集計とその解析

アンケート・文献により集めた1971年から1981年8月までの本邦深在性真菌症1,985例と同様にして集めた1908年から1966年までの深在性真菌症918例とを比較し, 次の如き傾向を認めた. 1) 深在性真菌症は増加しているが, 菌種別症例数の頻度をみると, アスペルギルス症 (以下ア症) の頻度は有意に低下し, クリプトコックス症 (ク症), ノカルディア症の頻度は有意に上昇した. 2) 男性例の占める頻度は, ア症, ク症で有意に低下した. 3) 平均年齢は, ア症, カンジダ症 (力症), 重複感染真菌症, ク症の順で有意に高齢化した. 4) 全続発例の頻度は, ア症で有意に低下し,...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 325 - 341
Main Author 佐野, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.04.1985
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Summary:アンケート・文献により集めた1971年から1981年8月までの本邦深在性真菌症1,985例と同様にして集めた1908年から1966年までの深在性真菌症918例とを比較し, 次の如き傾向を認めた. 1) 深在性真菌症は増加しているが, 菌種別症例数の頻度をみると, アスペルギルス症 (以下ア症) の頻度は有意に低下し, クリプトコックス症 (ク症), ノカルディア症の頻度は有意に上昇した. 2) 男性例の占める頻度は, ア症, ク症で有意に低下した. 3) 平均年齢は, ア症, カンジダ症 (力症), 重複感染真菌症, ク症の順で有意に高齢化した. 4) 全続発例の頻度は, ア症で有意に低下し, 力症で有意に上昇した. 5) 感染症続発例の頻度は, 重複感染真菌症, ク症, ムコール症 (ム症), 力症, ア症の順で低下した. 6) 続発例に対するステロイド, 抗腫蕩剤の投与頻度は, ア症, 力症, ク症, ム症, 重複感染真菌症で上昇し, 抗菌剤の投与頻度は, 力症, ム症, ア症, ク症の順で有意に低下した. 7) 手術材料・生検材料による生前の組織診断の頻度は, ア症, ク症, ム症, 重複感染真菌症, 力症の順で上昇した. 8) 原発例の死亡率は, ム症, ア症, 力症, ク症の順で低下した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.59.325