長年月にわたって臨床症状を呈したアメーバ赤痢の2症例

長年月にわたり粘血便の排出をみ, メトロニダゾールで治癒したアメーバ赤痢の2症例を経験した. 症例1: 62歳男性. 昭和18年にビルマでアメーバ赤痢に罹患し, キニーネで治癒昭和30年より裏急後重を伴う粘血便 (2-3回/日) が出現し持続するようになつた. 発熱 (-)・昭和55年頃よりこれらの症状が増悪したため, 昭和58年3月都立駒込病院に入院し, アメーバ赤痢と診断し, メトロニダゾール2.0g・10日間の治療を行ない, 裏急後重, 排便回数便の性状などの劇的な改善をみた. 症例2: 66歳, 男性. 昭和18年に南京でアメーバ赤痢に罹患し, 投薬にて症状は消失した・昭和20年より粘...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in感染症学雑誌 Vol. 59; no. 8; pp. 836 - 840
Main Authors 松田, 裕子, 井上, 潔, 増田, 剛太, 清水, 長世, 喜田, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.08.1985
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:長年月にわたり粘血便の排出をみ, メトロニダゾールで治癒したアメーバ赤痢の2症例を経験した. 症例1: 62歳男性. 昭和18年にビルマでアメーバ赤痢に罹患し, キニーネで治癒昭和30年より裏急後重を伴う粘血便 (2-3回/日) が出現し持続するようになつた. 発熱 (-)・昭和55年頃よりこれらの症状が増悪したため, 昭和58年3月都立駒込病院に入院し, アメーバ赤痢と診断し, メトロニダゾール2.0g・10日間の治療を行ない, 裏急後重, 排便回数便の性状などの劇的な改善をみた. 症例2: 66歳, 男性. 昭和18年に南京でアメーバ赤痢に罹患し, 投薬にて症状は消失した・昭和20年より粘血便, 頻尿, 全身掻痒感が持続するようになつた. 昭和58年1月に激しい腹痛, 悪寒戦藻, 発熱が出現したため精査目的で静岡労災病院へ入院し, アメーバ性大腸炎, アメーバ性肝膿瘍と診断された. 本症例にはメトロニダゾール1.2g・62日間の投与を行ない, 臨床症状, 検査所見は著明に改善した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.59.836