散発下痢症患者由来の毒素原性大腸菌

1979年12月から1982年1月までの26ヵ月間に, 急性下痢患者1,097例を対象として検便を行なった. 大腸菌が検出された624例について毒素産生試験を行ない, 24例 (2.2%) から毒素原性大腸菌を分離した. 24例のうち2例は海外罹患例であり, 1例は, 海外旅行下痢症患者からの2次感染例と考えられた. 21例は, 発症前数ヵ月間の海外渡航経験はなく, 国内での感染例であることが推測された. 21例から検出された毒素原性大腸菌は, 0血清型で13種類に型別された.最も検出頻度が高いものは, 0148及び06であった. 大腸菌の毒素型は, ST単独産生型が最も多く (16例, 76...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 57; no. 9; pp. 783 - 787
Main Authors 内村, 真佐子, 三瓶, 憲一, 小岩井, 健司, 七山, 悠三, 福田, トヨ子, 鈴木, 和夫, 菅野, 治重, 小林, 章男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.09.1983
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Summary:1979年12月から1982年1月までの26ヵ月間に, 急性下痢患者1,097例を対象として検便を行なった. 大腸菌が検出された624例について毒素産生試験を行ない, 24例 (2.2%) から毒素原性大腸菌を分離した. 24例のうち2例は海外罹患例であり, 1例は, 海外旅行下痢症患者からの2次感染例と考えられた. 21例は, 発症前数ヵ月間の海外渡航経験はなく, 国内での感染例であることが推測された. 21例から検出された毒素原性大腸菌は, 0血清型で13種類に型別された.最も検出頻度が高いものは, 0148及び06であった. 大腸菌の毒素型は, ST単独産生型が最も多く (16例, 76.2%) LT.ST両毒素産生型5例 (23.8%), LT単独産生型1例 (4.8%) であった. 1例は, ST単独産生菌とLT-ST両毒素産生菌による混合感染例であった. インドール非産生, ST単独産生, 0148.Hut株が, 相互に関係はないと思われる4例から検出された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.57.783