腹腔鏡下膵尾部切除術後に急性正中弓状靭帯症候群により膵十二指腸動脈瘤破裂を来した1例

症例は66歳の男性で,膵尾部の神経内分泌腫瘍に対して腹腔鏡下膵尾部切除術を施行した.術後2日目に突然の背部痛が出現し,緊急造影CTにて右前腎傍腔の血腫と前下膵十二指腸動脈瘤を認めた.術前には認めなかった腹腔動脈起始部狭窄(celiac axis stenosis;以下,CASと略記)が出現しており原因と考えられた.腹部血管造影下に上腸間膜動脈からアプローチをして前膵十二指腸動脈に対して選択的にコイル塞栓術を施行した.再出血なく術後33日目に退院となった.術後3か月の造影CTではCASは消失しており急性正中弓状靭帯症候群(acute median arcuate ligament syndrom...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 9; pp. 496 - 503
Main Authors 藤林, 勢世, 深田, 真宏, 村瀬, 勝俊, 久野, 真史, 東, 敏弥, 田中, 善宏, 奥村, 直樹, 高橋, 孝夫, 松橋, 延壽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2023
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Summary:症例は66歳の男性で,膵尾部の神経内分泌腫瘍に対して腹腔鏡下膵尾部切除術を施行した.術後2日目に突然の背部痛が出現し,緊急造影CTにて右前腎傍腔の血腫と前下膵十二指腸動脈瘤を認めた.術前には認めなかった腹腔動脈起始部狭窄(celiac axis stenosis;以下,CASと略記)が出現しており原因と考えられた.腹部血管造影下に上腸間膜動脈からアプローチをして前膵十二指腸動脈に対して選択的にコイル塞栓術を施行した.再出血なく術後33日目に退院となった.術後3か月の造影CTではCASは消失しており急性正中弓状靭帯症候群(acute median arcuate ligament syndrome;以下,AMALSと略記)の発症が疑われた.今回,我々は腹腔鏡下膵尾部切除術後にAMALSが原因と考えられるCASにより前膵十二指腸動脈瘤破裂の1例を経験したため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0057