細菌性赤痢に対するピペミド酸 (PPA) とカナマイシン (KM) の二重盲検法による治療効果の検討

経口抗菌剤ピペミド酸 (PPA) の有効性・安全性を客観的に評価する目的で, 細菌性赤痢を対象とし, カナマイシン (KM) を対照薬として, 二重盲検法により比較検討した. 投与量は両剤とも1日2.Og, 投与期間は5日間とした. 総投与例数は211例で, 除外・脱落を除くPPA群73例, KM群66例の計139例が効果判定対象とされた. 背景因子は両群間に有意差は認められず, その均一性が確認され, 解析結果から以下の成績が得られた. 全139例について臨床効果を総合的に有効率でみるとPPA群86.3%, KM群75.8%で, 有意差はなかった. しかし, 患者群ではPPA群92.5%,...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 57; no. 4; pp. 303 - 317
Main Authors 長谷川, 潔, 辻, 正周, 中村, 千衣, 根岸, 昌功, 山県, 元, 庭野, 一次, 村田, 三紗子, 天野, 冨貴子, 後藤, 延一, 千田, 俊雄, 清水, 長世, 加藤, 孝治, 角田, 沖介, 滝沢, 慶彦, 小西, 和美, 相楽, 裕子, 近藤, 忠雄, 中村, 正義, 杉原, 徹, 堀内, 三吉, 増田, 剛太, 庄司, 明子, 乗木, 秀夫, 中谷, 林太郎, 星野, 重二, 柴岡, はるみ, 今川, 八束, 小林, 祥男, 藤森, 一平, 赤尾, 満, 冨沢, 功, 今井, 千尋, 松原, 義雄, 斎藤, 誠, 田中, 義淳, 相坂, 忠一, 瀬尾, 威久, 橋本, 博, 小川, 正之, 小林, 芳夫, 新美, 正信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.04.1983
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.57.303

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Summary:経口抗菌剤ピペミド酸 (PPA) の有効性・安全性を客観的に評価する目的で, 細菌性赤痢を対象とし, カナマイシン (KM) を対照薬として, 二重盲検法により比較検討した. 投与量は両剤とも1日2.Og, 投与期間は5日間とした. 総投与例数は211例で, 除外・脱落を除くPPA群73例, KM群66例の計139例が効果判定対象とされた. 背景因子は両群間に有意差は認められず, その均一性が確認され, 解析結果から以下の成績が得られた. 全139例について臨床効果を総合的に有効率でみるとPPA群86.3%, KM群75.8%で, 有意差はなかった. しかし, 患者群ではPPA群92.5%, KM群72.5%であり, PPA群が有意に勝っていた. 対症状効果として, 発熱, 血便, 便性異常, 排便回数について検討したが, 便性異常を除く3症状に対してPPAは有意に勝っていた. 対排菌効果についてはPPA群は94.5%, KM群は77.3%で, PPA群が有意に勝っていた. 副作用はPPA群で2例, KM群で3例に認められた. 分離赤痢菌146株についての, MICのピ-クは, PPA群では1.56μg/ml, KM群では6.25μg/mlにあった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.57.303