1978~1980年に臨床材料から分離したA群溶連菌の血清型と抗生剤感受性; Erythromycin耐性率の減少

1978-80年に小児溶連菌感染症患者から分離したA群溶連菌174株のT血清型別と抗生剤感受性試験を行った. 1型, 4型, 12型の菌を中心に, 四季を通じて分離されていたが, 1980年秋に分離数が増加し, 12型と6型の株が目立った. 患者の年齢は5歳をピークに0歳から15歳に分布し, 疾病の35%は狸紅熱, 61%は咽頭炎で, 菌型は両者でほぼ同様の分布を示し, 12型, 1型, 4型, 6型が多かった.急性腎炎, 血管性紫斑病, 敗血症から分離した菌は1型が目立った.174株中28株 (16.1%) がErythromycinとLincomycin耐性, 44株 (25.3%) がC...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 57; no. 9; pp. 776 - 782
Main Authors 藤田, 晃三, 井関, 憲一, 吉岡, 一, 丸山, 静男, 早苗, 信隆, 前川, 静枝, 山口, とも
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.09.1983
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Summary:1978-80年に小児溶連菌感染症患者から分離したA群溶連菌174株のT血清型別と抗生剤感受性試験を行った. 1型, 4型, 12型の菌を中心に, 四季を通じて分離されていたが, 1980年秋に分離数が増加し, 12型と6型の株が目立った. 患者の年齢は5歳をピークに0歳から15歳に分布し, 疾病の35%は狸紅熱, 61%は咽頭炎で, 菌型は両者でほぼ同様の分布を示し, 12型, 1型, 4型, 6型が多かった.急性腎炎, 血管性紫斑病, 敗血症から分離した菌は1型が目立った.174株中28株 (16.1%) がErythromycinとLincomycin耐性, 44株 (25.3%) がChloramphenicol耐性, 94株 (54.0%) がTetracycline耐性であり, ErythromycinとLincomycinに耐性の28株中5株はTetracyclineにも耐性, 23株はChloramphenicolとTetracyclineにも耐性であった.12型64株では, 21株 (32.8%) が4薬剤ともに耐性であり, 4型30株では23株 (76.7%) がTetracycline耐性, Erythromycin耐性が5株みられた.一方, 1型29株中28株はこれら薬剤に感受性であり, 18型, 22型株も感受性株が多かった.また, 分離株はすべて調べたPenicillin系, Cephalosporin系抗生剤に感受性であった. 1978-80年に分離したA群溶連菌株のMacrolide抗生剤, Chloramphenicol, Tetracyclineに対する耐性率は, 1974-75年度分離株に比較して低下していた.この耐性率の低下は, 我が国においてこれらの薬剤の使用が1975年以降減少傾向にあることが一因と推定された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.57.776