東京都で発生したC群ロタウイルス下痢症の集団発生例

1991年4月, 1小学校に共通の症状を伴った胃腸炎が多発した.保健所では, 給食による食中毒を疑い疫学調査を行った. その結果, 患者は1年生と2年生を中心に合計51名に達していることが確認された. 患者の主な症状は, 下痢 (100%), 腹痛 (68%), 嘔吐 (56%) であった. 患者11人を対象とした細菌検査, ウイルス分離試験, A群ロタウイルス抗原検査は全て陰性であった.しかし, 電子顕微鏡検査によりロタウイルス様粒子が観察された.この粒子を免疫電子顕微鏡法, RNA-PAGE法, C群ロタウイルス抗原検出ELISA法で確認したところC群ロタウイルスであることが明らかとなった...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 67; no. 2; pp. 110 - 115
Main Authors 工藤, 泰雄, 甲斐, 明美, 高橋, 正樹, 柳川, 義勢, 林, 志直, 楠, 淳, 安東, 民衛, 尾畑, 浩魅, 太田, 建爾, 関根, 整治, 新垣, 正夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.02.1993
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.67.110

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Summary:1991年4月, 1小学校に共通の症状を伴った胃腸炎が多発した.保健所では, 給食による食中毒を疑い疫学調査を行った. その結果, 患者は1年生と2年生を中心に合計51名に達していることが確認された. 患者の主な症状は, 下痢 (100%), 腹痛 (68%), 嘔吐 (56%) であった. 患者11人を対象とした細菌検査, ウイルス分離試験, A群ロタウイルス抗原検査は全て陰性であった.しかし, 電子顕微鏡検査によりロタウイルス様粒子が観察された.この粒子を免疫電子顕微鏡法, RNA-PAGE法, C群ロタウイルス抗原検出ELISA法で確認したところC群ロタウイルスであることが明らかとなった. 以上結果, 今回の集団発生例はC群ロタウイルスが病因と推定された. また患者の発生状況, 欠席状況などの疫学調査から単一暴露の発生と考えにくく, 給食が原因である可能性は低いと推察された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.67.110