白血病に合併した侵襲性肺アスペルギルス症の臨床病理学的検討
白血病に合併した侵襲性肺アスペルギルス症 (invasive pulmonary aspergillosis: IPA) の臨床ならびに病理学的特徴を知る目的で, 白血病に合併したIPA 8剖検例を対象として, 臨床, 画像所見と剖検時の病理組織学的所見との関連について検討した.対象症例は男女各4例で, 年齢は35歳から75歳平均年齢57.4歳であった. 末梢血好中球数と病理組織所見の関連性を比較した結果, 胸部異常陰影出現時に末梢血好中球数が500/μL未満であった6例は, 病理学的にはすべて周囲に出血を伴う凝固壊死からなる結節性病変が形成されており, 好中球浸潤はほとんどみられず, 融解壊...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 81; no. 3; pp. 261 - 267 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.05.2007
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.81.261 |
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Summary: | 白血病に合併した侵襲性肺アスペルギルス症 (invasive pulmonary aspergillosis: IPA) の臨床ならびに病理学的特徴を知る目的で, 白血病に合併したIPA 8剖検例を対象として, 臨床, 画像所見と剖検時の病理組織学的所見との関連について検討した.対象症例は男女各4例で, 年齢は35歳から75歳平均年齢57.4歳であった. 末梢血好中球数と病理組織所見の関連性を比較した結果, 胸部異常陰影出現時に末梢血好中球数が500/μL未満であった6例は, 病理学的にはすべて周囲に出血を伴う凝固壊死からなる結節性病変が形成されており, 好中球浸潤はほとんどみられず, 融解壊死や空洞は認められなかった. 一方, 異常陰影出現時に末梢血好中球数が500/μL以上であった2例は, いずれも著明な好中球浸潤と中心部に融解壊死を認め, 多発性の膿瘍が形成されていた. 以上のことより, IPA病変の形態的相違は, 好中球浸潤とその組織障害の程度によって規定されている可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.81.261 |