家蚕繭の新たな特徴としての光沢・色彩とその評価

絹の持つ光沢や色彩という特徴は利用者に高い関心があるが、ほとんど調査されなかった。繭糸に特徴のある蚕品種を育成するために、生糸を用いて光沢と色彩について調査し、評価法を確立した。蚕品種「はくぎん」、「しんあけぼの」、「日137号×支146号」と「ありあけ」を用い、その生糸を平面ボビンに巻き取ることで測定を可能にした。繊維に対し平行と直角の両方向の光沢値を測定したら、どちらも「はくぎん」が高い値を示したが、「日×支」は低かった。白色度では、「はくぎん」は高く、「しんあけぼの」は低かった。繊度と光沢・色彩には負の相関が認められ、細繊度品種は両数値が高い傾向を示した。これら結果の要因を探るために、各...

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Published in日本シルク学会誌 Vol. 16; pp. 83 - 89
Main Authors 岡田, 英二, 中島, 健一, 三澤, 利彦, 宮崎, 栄子, 間瀬, 啓介, 高林, 千幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シルク学会 2007
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Summary:絹の持つ光沢や色彩という特徴は利用者に高い関心があるが、ほとんど調査されなかった。繭糸に特徴のある蚕品種を育成するために、生糸を用いて光沢と色彩について調査し、評価法を確立した。蚕品種「はくぎん」、「しんあけぼの」、「日137号×支146号」と「ありあけ」を用い、その生糸を平面ボビンに巻き取ることで測定を可能にした。繊維に対し平行と直角の両方向の光沢値を測定したら、どちらも「はくぎん」が高い値を示したが、「日×支」は低かった。白色度では、「はくぎん」は高く、「しんあけぼの」は低かった。繊度と光沢・色彩には負の相関が認められ、細繊度品種は両数値が高い傾向を示した。これら結果の要因を探るために、各品種の生糸断面を調べた。「はくぎん」は生糸表面が滑らかで、内部が繭糸によって十分に充填されていることが光沢値や白色度が高い要因と考えられる。
ISSN:1880-8204
1881-1698
DOI:10.11417/silk.16.83