呼吸器感染症に対するDL-8280とAmoxicillinの薬効比較試験
ピリドンカルボン酸系の合成経口抗菌剤DL8280の呼吸器感染症に対する有効性, 安全性及び有用性を検討する目的で, Amoxicillin (AMPC) を対照として二重盲検比較試験を実施した. 対象疾患は慢性気管支炎, び漫性汎細気管支炎の感染性増悪及び気道感染を伴った慢性呼吸器疾患 (気管支拡張症, 気管支喘息, 肺気腫, 肺線維症, 陳旧性肺結核など) ならびに細菌性肺炎とした. 投与量はDL. 82801日量600mg分3, AMPC1日量1,000mg分4とした. 臨床効果, 細菌学的効果, 安全性, 有用性を検討し, 以下の成績を得た. 1) 臨床効果:DL-8280投与群では,...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 525 - 555 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.06.1984
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Summary: | ピリドンカルボン酸系の合成経口抗菌剤DL8280の呼吸器感染症に対する有効性, 安全性及び有用性を検討する目的で, Amoxicillin (AMPC) を対照として二重盲検比較試験を実施した. 対象疾患は慢性気管支炎, び漫性汎細気管支炎の感染性増悪及び気道感染を伴った慢性呼吸器疾患 (気管支拡張症, 気管支喘息, 肺気腫, 肺線維症, 陳旧性肺結核など) ならびに細菌性肺炎とした. 投与量はDL. 82801日量600mg分3, AMPC1日量1,000mg分4とした. 臨床効果, 細菌学的効果, 安全性, 有用性を検討し, 以下の成績を得た. 1) 臨床効果:DL-8280投与群では, 122例中, 著効6例, 有効89例, やや有効16例, 無効10例, 判定不能1例 (有効率78.5%), 一方AMPC投与群では, 115例中, 著効5例, 有効73例, やや有効14例, 無効22例, 判定不能1例 (有効率68.4%) であった. すなわち, DL-8280投与群でAMPC投与群に比し, その臨床効果の点ですぐれた傾向が示された. また, 疾患群別に層別した場合, 慢性気道感染群において, DL-8280投与群で傾向差をもってすぐれた成績が得られた. 2) 細菌学的効果:DL-8280投与群79株で消失率88.6%, AMPC投与群72株で消失率61.1%が示され, その消失率に有意差が認められた. 菌別に層別した場合,H.influenzaeにおいて, DL-8280投与群で有意に高い消失率が示された. 3) 副作用:副作用発現率はDL-8280投与群132例中6.1%, AMPC投与群130例中7.7%であり, また, 臨床検査異常値発現率はDL-8280投与群126例中11.1%, AMPC投与群127例中14.2%であり, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった. 4) 有用性:DL-8280投与群では, 124例中, 非常に満足78例, 満足16例, まずまず17例, 不満13例, 一方, AMPC投与群では, 117例中, 非常に満足60例, 満足15例, まずまず16例, 不満22例, 非常に不満4例で, DL-8280投与群で有意にすぐれた成績が得られた. 5) 以上の成績より, DL-8280は下気道領域以下の呼吸器感染症, とくに慢性気管支炎などのいわゆる複雑性呼吸器感染症に対して, 臨床的に高い有用性が示唆される薬剤と考えられた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.58.525 |