肺結核患者の赤血球沈降速度についての検討

1989年から1993年までに入院した肺結核患者のうち合併症を有するものなどを除いた326人を対象に赤血球沈降速度 (erythrocyte sedimentation rate, 以下ESR) とその影響因子について検討を行った.ESRは高齢になるほど亢進する傾向にあった.また50歳代以下と60歳代以上との問に有意な格差を認め, さらに20歳代ではより低い傾向にあり, 不顕性感染の影響が考えられた.病型について空洞の有無はESRに影響せず, 病巣の拡がりでは広くなるほど有意に亢進した.Gaffky号数, 喀痰排菌の陰性化までの期間およびCRPとの比較では有意に相関関係を認めた.その一方でCR...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 70; no. 9; pp. 955 - 962
Main Authors 市瀬, 裕一, 柳澤, 直志, 高橋, 正光, 外山, 圭助, 岡島, 重孝, 並木, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.09.1996
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.955

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Summary:1989年から1993年までに入院した肺結核患者のうち合併症を有するものなどを除いた326人を対象に赤血球沈降速度 (erythrocyte sedimentation rate, 以下ESR) とその影響因子について検討を行った.ESRは高齢になるほど亢進する傾向にあった.また50歳代以下と60歳代以上との問に有意な格差を認め, さらに20歳代ではより低い傾向にあり, 不顕性感染の影響が考えられた.病型について空洞の有無はESRに影響せず, 病巣の拡がりでは広くなるほど有意に亢進した.Gaffky号数, 喀痰排菌の陰性化までの期間およびCRPとの比較では有意に相関関係を認めた.その一方でCRP陰性が28%あり, 結核の病勢を評価するのにCRPのみでは不十分で, ESRを同時に検査する必要があると思われた.ESRおよびCRPのReceiver-Operator Characteristic曲線の比較においてもESRが診断正確度は高く, 結核の検査としてESRは有用であると思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.955