経気管吸引法 (TTA) による嫌気性菌呼吸器感染症の臨床的検討
1990年4月から1998年3月までに経気管吸引法 (Transtracheal aspiration: TTA) を行ない, 嫌気性菌を分離した呼吸器感染症42例を臨床病態別に解析した. 嫌気性菌の分離頻度はTTA施行症例の10.9%, 微生物分離症例の15.7%, 一般細菌分離症例の16.3%であった. 呼吸器感染症の病態別にみた嫌気性菌分離頻度は肺膿瘍93.3%, 院内肺炎22.7%, 院外肺炎19.4%, 慢性下気道感染症急性増悪26.7%, 持続感染1.6%, 急性気管支炎3.0%であった. 分離した嫌気性菌はPeptostreptococcus micros, Prevotella...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 73; no. 7; pp. 675 - 680 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.07.1999
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Summary: | 1990年4月から1998年3月までに経気管吸引法 (Transtracheal aspiration: TTA) を行ない, 嫌気性菌を分離した呼吸器感染症42例を臨床病態別に解析した. 嫌気性菌の分離頻度はTTA施行症例の10.9%, 微生物分離症例の15.7%, 一般細菌分離症例の16.3%であった. 呼吸器感染症の病態別にみた嫌気性菌分離頻度は肺膿瘍93.3%, 院内肺炎22.7%, 院外肺炎19.4%, 慢性下気道感染症急性増悪26.7%, 持続感染1.6%, 急性気管支炎3.0%であった. 分離した嫌気性菌はPeptostreptococcus micros, Prevotella melaninogenicaなどが多かった. しかし好気性菌との混合感染例が多く, 肺膿瘍・肺炎では嫌気性菌が好気性菌と同等以上の分離菌量であることが多く, 慢性下気道感染症急性増悪では好気性菌の分離菌量が多い傾向であった. 使用した抗菌薬は第三世代セフェム系・カルバペネム系抗菌薬の単独もしくはclindamycinとの併用が多く, 41例は抗菌薬治療のみで治癒した. しかし肺炎を発症した肺癌症例1例が抗菌薬治療にもかかわらず死亡した. 嫌気性菌は呼吸器感染症のいずれの病態にも関与し, 特に肺膿瘍・肺炎・慢性下気道感染症急性増悪での嫌気性菌分離頻度が高いので, 診断・治療には注意が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.73.675 |