びまん性汎細気管支炎に対するazithromycinの臨床的検討

びまん性汎細気管支炎を対象に, 新規の15員環マクロライド系抗生物質azithromycin (AZM) の有効性, 安全性を検討した. 合計60例の症例にAZM250mgを1週2回, 原則として3カ月間間欠投与し, 臨床効果52例, 安全性55例を検討の対象とした. AZM投与による有効率は84.6%(44/52) であった.投与12週後の臨床所見では, 喀痰量が46例中30例に, 労作時息切れは46例中23例に改善がみられ, いずれも悪化例はみられなかった.その他, 肺括量, 1秒量, 寒冷凝集反応, CRPについても改善傾向がみられた.常在菌を除いた喀痰分離菌38株のうち15株が消失した...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 69; no. 6; pp. 711 - 722
Main Authors 小林, 宏行, 武田, 博明, 酒寄, 享, 川上, 義和, 大塚, 義紀, 田村, 昌士, 小西, 一樹, 谷本, 普一, 深草, 元紀, 島田, 馨, 佐野, 靖之, 荒井, 康男, 宍戸, 春美, 渡辺, 尚, 坂本, 恵理子, 中田, 紘一郎, 中谷, 龍王, 坪井, 永保, 小田切, 繁樹, 鈴木, 周雄, 吉池, 保博, 平居, 義裕, 大久保, 隆男, 池田, 大忠, 荒川, 正昭, 和田, 光一, 塚田, 弘樹, 佐藤, 篤彦, 千田, 金吾, 成田, 亘啓, 澤木, 政好, 三笠, 桂一, 副島, 林造, 二木, 芳人, 沖本, 二郎, 佐々木, 孝夫, 松本, 行雄, 杉本, 勇二, 城戸, 優光, 二階堂, 義彦, 荒川, 規矩男, 向野, 賢治, 石橋, 凡雄, 高本, 正祇, 北原, 義也, 原, 耕平, 河野, 茂, 門田, 淳一, 那須, 勝, 後藤, 陽一郎, 山崎, 透, 斎藤, 厚, 普久原, 浩, 稲留, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.06.1995
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Summary:びまん性汎細気管支炎を対象に, 新規の15員環マクロライド系抗生物質azithromycin (AZM) の有効性, 安全性を検討した. 合計60例の症例にAZM250mgを1週2回, 原則として3カ月間間欠投与し, 臨床効果52例, 安全性55例を検討の対象とした. AZM投与による有効率は84.6%(44/52) であった.投与12週後の臨床所見では, 喀痰量が46例中30例に, 労作時息切れは46例中23例に改善がみられ, いずれも悪化例はみられなかった.その他, 肺括量, 1秒量, 寒冷凝集反応, CRPについても改善傾向がみられた.常在菌を除いた喀痰分離菌38株のうち15株が消失した.そのうちPseudomonas aeruginosaは22株が検出され, 4株が消失した. 副作用は55例中4例 (7.3%) にみられ, その内訳は皮疹, 掻痒感, 下痢, 胃症状 (胃もたれ) 各1例であった.臨床検査値の異常変動は54例中4例 (7.4%) に見られ, その内訳は好酸球の増多2例, GOTの上昇1例, Al-Pの上昇1例であった.これらの副作用, 臨床検査値異常変動の程度はいずれも軽度または中等度であった. AZMの1週2回間欠投与による長期療法には, びまん性汎細気管支炎に対して, 現在有用性の認められているerythromycin, clarithromycin等の14員環マクロライドの長期少量投与と同様の有用性が期待された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.711