残油水素化処理における水添加による触媒の活性向上および劣化抑制

常圧残油の水素化処理において,水添加による触媒寿命の延長を目指した。既存の固定床流通式反応装置において水の添加を行った結果,脱硫および脱金属活性が向上し,触媒の劣化が抑制できた。水の添加を停止すれば,水の添加効果は消失し,コーク生成量は再び増加する。回分式反応装置において新触媒および金属やコークのたい積量が異なる使用済み触媒を用いて水添加効果を調べた。 水の添加効果については以下のように考察した。 水の添加は,原料油中のアスファルテンや反応中に生成するコーク前駆体を触媒表面上から脱離するのを促進し,触媒寿命を延長する。同時に,水の添加は触媒活性点へのアスファルテンの吸着と生成物脱離のサイクルを...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 47; no. 2; pp. 107 - 114
Main Authors 持田, 勲, 出井, 一夫, 水谷, 洋, 近藤, 弘一, 桐山, 和幸
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 公益社団法人 石油学会 2004
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.47.107

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Summary:常圧残油の水素化処理において,水添加による触媒寿命の延長を目指した。既存の固定床流通式反応装置において水の添加を行った結果,脱硫および脱金属活性が向上し,触媒の劣化が抑制できた。水の添加を停止すれば,水の添加効果は消失し,コーク生成量は再び増加する。回分式反応装置において新触媒および金属やコークのたい積量が異なる使用済み触媒を用いて水添加効果を調べた。 水の添加効果については以下のように考察した。 水の添加は,原料油中のアスファルテンや反応中に生成するコーク前駆体を触媒表面上から脱離するのを促進し,触媒寿命を延長する。同時に,水の添加は触媒活性点へのアスファルテンの吸着と生成物脱離のサイクルを促進して,脱硫活性が向上する。こうした水のストリッピング効果は,脱硫条件で添加した高温高圧水蒸気の高い溶解力によるものと推察される。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.47.107