蒸気による砂場の消毒と細菌叢の変化について

砂場の上をシートカバーで覆い蒸気を供給する方法により, 砂場の消毒実験を行い, その影響について調査した. 消毒効果を評価するために, 生菌数, 好気性芽胞形成菌数, 大腸菌群数, 糞便性大腸菌群数を, 消毒4週間前, 消毒直前, 消毒直後, 消毒2週間後および4週間後について測定した. 大腸菌群, 糞便性大腸菌群の消毒は, 砂の温度を60℃以上に上昇させる事により達成された. 生菌数, 好気性芽胞形成菌数は蒸気消毒によりその数を減じた. しかしながら, 消毒2週間後および4週間後の大腸菌群数, 糞便性大腸菌群数は消毒前と同じ程度に回復しており, 生菌数も同じ様にその数を回復していた. 更に,...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 383 - 389
Main Authors 小倉, 誠, 鶴岡, 佳久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.04.1995
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Summary:砂場の上をシートカバーで覆い蒸気を供給する方法により, 砂場の消毒実験を行い, その影響について調査した. 消毒効果を評価するために, 生菌数, 好気性芽胞形成菌数, 大腸菌群数, 糞便性大腸菌群数を, 消毒4週間前, 消毒直前, 消毒直後, 消毒2週間後および4週間後について測定した. 大腸菌群, 糞便性大腸菌群の消毒は, 砂の温度を60℃以上に上昇させる事により達成された. 生菌数, 好気性芽胞形成菌数は蒸気消毒によりその数を減じた. しかしながら, 消毒2週間後および4週間後の大腸菌群数, 糞便性大腸菌群数は消毒前と同じ程度に回復しており, 生菌数も同じ様にその数を回復していた. 更に, 好気性芽胞形成菌数の有意な増加を, 消毒2週間後および4週間後共に認めた. これらの結果から蒸気による消毒の効果は, 一時的であり, 砂場の定期的な消毒方法として使用するには適していないことが判明した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.383