Nested-PCR法によるインフルエンザウイルスの検出

インフルエンザウイルスの迅速, 高感度な検査法としてのNested-PCR法の検討を行った. さらに, この方法を用いてインフルエンザの血清抗体上昇が認められたものの, ウイルス分離試験で陰性の検体についてNested-PCR法によるウイルスRNAの検出を行った.近年のワクチン株と川崎市衛生研究所で分離された株の感染細胞上清を用い, プライマーの特異性を先に調べた結果, 型特異性が高く, 各型間での非特異反応はみられなかった.検討したプライマーを用い, 検出感度についてワクチン株で測定した結果・AH1型は1stPCRで90PFU/assey, 2ndPCRで0.9PFU/assey, AH3型...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 522 - 526
Main Authors 今井, 光信, 清水, 英明, 渡辺, 寿美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.06.1997
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.71.522

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Summary:インフルエンザウイルスの迅速, 高感度な検査法としてのNested-PCR法の検討を行った. さらに, この方法を用いてインフルエンザの血清抗体上昇が認められたものの, ウイルス分離試験で陰性の検体についてNested-PCR法によるウイルスRNAの検出を行った.近年のワクチン株と川崎市衛生研究所で分離された株の感染細胞上清を用い, プライマーの特異性を先に調べた結果, 型特異性が高く, 各型間での非特異反応はみられなかった.検討したプライマーを用い, 検出感度についてワクチン株で測定した結果・AH1型は1stPCRで90PFU/assey, 2ndPCRで0.9PFU/assey, AH3型は1stPCRで100PFU/assey, 2ndPCRで1.OPFU/assey, B型は1stPCRで180PFU/assey, 2ndPCRで1.8PFU/asseyであった. 血清抗体価の上昇がみられたにもかかわらず, 分離陰性で, AH1型に感染を受けたものと血清学的に診断された臨床検体では20検体中17件 (85.0%), AH3型では19検体中15件 (78.9%), B型では7検体中6件 (85.7%) で, 合計46検体中38件 (82.6%) がPCR陽性となった. このことから, 本方法はインフルエンザの早期診断に用いることができるものと考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.71.522