Campylobacter jejuni/coliの血清型別に関する研究: 全国レファレンス・システム設立の試行
我が国におけるカンピロバクター血清型別のレファレンス・システムを確立することを目標に, 国際統一法が開発されるまでの間国内で利用すべき型別法を得るため, 8地方衛生研究所のす協同作業を開始した. 本報では, 東京都立衛生研究所で開発されたスライド凝集反応法 (TCKシステム) によって全国各地で得られたヒト由来Campyylobacter jejuni分離株を血清型別した成績を記載した. 全国各地で発生したC. jejuniによる下痢集団発生37事例由来の335株について, TCK1からTCK33までの33型の型別用血清を用いて, 型別した結果は, 282株 (84.2%) が型別され, 53...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 62; no. 9; pp. 818 - 825 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.09.1988
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.818 |
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Summary: | 我が国におけるカンピロバクター血清型別のレファレンス・システムを確立することを目標に, 国際統一法が開発されるまでの間国内で利用すべき型別法を得るため, 8地方衛生研究所のす協同作業を開始した. 本報では, 東京都立衛生研究所で開発されたスライド凝集反応法 (TCKシステム) によって全国各地で得られたヒト由来Campyylobacter jejuni分離株を血清型別した成績を記載した. 全国各地で発生したC. jejuniによる下痢集団発生37事例由来の335株について, TCK1からTCK33までの33型の型別用血清を用いて, 型別した結果は, 282株 (84.2%) が型別され, 53株 (15.8%) が型別不能であった. 前者の内242株は単一の型別用血清とのみ反応し, 40株は2種或いはそれ以上の型別用血清と反応した. 集団事例ごとにみた場合, すべての分離菌株の血清型が一致したのが14事例であった. 2種類の血清型の菌株が分離されたのが10事例, 3種以上の血清型が分離されたのが13事例であった. 散発下痢症患者から検出された1,064株では, 714株 (67.1%) が型別され, 340株 (32.0%) が型別不能であった.残りの10株はR型であるために型別出来なかった. 最も高頻度に認められた血清型はTCK1 (12.8%), 20 (12.3%), 4 (8.2%), 7 (6.8%), 24 (6.6%) などであり, これらの分布に地域的な偏りはなかった.次いで普遍的に認められた型はTCK26, 21, 6, 12, 10などであった.型別された714株の内95株 (13.3%) は2種以上の型別用血清と反応した. 以上の結果から, 本血清型別システムは, 国際統一型別法が確立されるまでの間の実用に充分耐え得るものであろと考える. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.818 |