臨床分離Enterococcus faecalisの血清型別分布

• Published in: 感染症学雑誌 Vol. 69; no. 2; pp. 189 - 198
• Main Authors: 吉岡, 琢, 熊本, 悦明, 廣瀬, 崇興, 清水, 俊明, 前川, 静枝
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本感染症学会 01.02.1995
• ISSN: 0387-5911; 1884-569X
• DOI: 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.189

様々な地域別または臨床材料別から分離されたEnterccoccus faecalisの血清型別分布について検討した. 現在までE. faecalisは21種類の血清型に分類可能である. この血清型別因子血清を用い, 本邦および米国, 英国で分離された本菌の血清型別分類を行った. 本邦で分離された770株中2型 (30.6%), 7型 (13.9%), 1型 (12.2%), 4型 (6.9%) が多く認められ, この4種類の血清型で全体の63.6%を占めていた. 米国株200株の検討では, 1型 (22.5%), 4型 (14.5%), 2型 (14.0%) が多かった. また, 英国株65株では, 2型 (24.6%), 4型 (13.8%), 9型 (7.7%) が多く, 国別により分離されたE. faecalisの血清型別分布は多少異なっていた. さらに, 臨床材料別では, 尿由来株は2型 (32.7%), 7型 (14.6%), 膿由来株は7型 (35.0%), 2型 (15.0%), 喀痕由来株は7型 (44.4%), 2型 (33.3%), 血液由来株は2型 (22.3%), 1型 (13.1%) が, 膣分泌物由来株は2型 (34.9%), 1型 (27-9%) が多かった. このように, 臨床材料別でも血清型別分布は多少異なっていた. また, 血清型別分布の年次変遷を検討すると, 年度により血清型別分布は異なっていた. 以上より, 地域や臨床材料により, また分離される年度によりE. faecalisの血清型別分布は異なることが判明し, 本血清型別法は疫学的検討に有用であると考えられた.