Ara-Aによる単純ヘルペスウイルス脳炎治療の臨床試験成績

全国の病院に入院したHSV脳炎症例を対象として, Ara-A投与の有用性を評価するための臨床試験を行なった. ウイルス血清学的検査成績を中心とした診断基準に従って, 研究会でHSV脳炎と判定した症例群を対象とする薬効評価試験では, 対照群 (43例) の致死率が33%であったのに対して, Ara-A投与群の致死率は8%であった.従って治療群の致死率は, 有意の差 (p<0.05) で, 対照群のそれより低かった.投与後90日で判定した後遺症の程度についても, Ara-A投与群が軽かった. Ara-A投与群内層別を行ない, 各層間の致死率, 後遺症の程度に関する検定を行なった.層別因子のな...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 56; no. 9; pp. 799 - 824
Main Authors 萬年, 徹, 大谷, 杉士, 佐藤, 猛, 塚越, 廣, 甲野, 禮作, 水谷, 裕迪, 倉田, 毅, 青山, 友三, 庄司, 紘史, 高須, 俊明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.09.1982
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.799

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Summary:全国の病院に入院したHSV脳炎症例を対象として, Ara-A投与の有用性を評価するための臨床試験を行なった. ウイルス血清学的検査成績を中心とした診断基準に従って, 研究会でHSV脳炎と判定した症例群を対象とする薬効評価試験では, 対照群 (43例) の致死率が33%であったのに対して, Ara-A投与群の致死率は8%であった.従って治療群の致死率は, 有意の差 (p<0.05) で, 対照群のそれより低かった.投与後90日で判定した後遺症の程度についても, Ara-A投与群が軽かった. Ara-A投与群内層別を行ない, 各層間の致死率, 後遺症の程度に関する検定を行なった.層別因子のなかで, Ara-Aの薬効に影響するものは, 投与開始病日であった.従って, 早期投与の励行により, Ara-A投与の効果は更に強められるものと考えられる. 今回の臨床試験では, Ara-A投与全症例を調査したが, 重篤な副作用は認められなかった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.56.799