静岡県中西部の茶草場における外来植物の分布と耕作履歴および環境条件との関係

静岡県中西部の茶草場(茶園の敷草を刈るために維持されてきた半自然草地)は,希少種を含む多くの在来植物の生育地となっている。しかし近年,外来植物の侵入が報告され,さらなる分布拡大にともなう在来植物の減少が懸念される。効率的な外来植物管理に資するため,耕作履歴,環境条件(開空率および土壌条件),周辺の土地利用および茶草場の面積と外来植物の分布との関係を調査した。階層線形モデルを用いた解析の結果,耕作履歴のある茶草場では,外来植物のコドラートあたり種数,各外来植物の出現確率とも高いことが示された。土壌のカルシウム含量は,コドラートあたりの外来植物の種数,セイタカアワダチソウ(Solidago alt...

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Published in雑草研究 Vol. 61; no. 2; pp. 61 - 70
Main Authors 丹野, 夕輝, 山下, 雅幸, 澤田, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本雑草学会 2016
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Summary:静岡県中西部の茶草場(茶園の敷草を刈るために維持されてきた半自然草地)は,希少種を含む多くの在来植物の生育地となっている。しかし近年,外来植物の侵入が報告され,さらなる分布拡大にともなう在来植物の減少が懸念される。効率的な外来植物管理に資するため,耕作履歴,環境条件(開空率および土壌条件),周辺の土地利用および茶草場の面積と外来植物の分布との関係を調査した。階層線形モデルを用いた解析の結果,耕作履歴のある茶草場では,外来植物のコドラートあたり種数,各外来植物の出現確率とも高いことが示された。土壌のカルシウム含量は,コドラートあたりの外来植物の種数,セイタカアワダチソウ(Solidago altissima L.)およびネズミムギ(Lolium multiflorum Lam.)の出現確率と正の関係にあった。草冠(群落の最上部)の上の開空率は,セイタカアワダチソウ,ナギナタガヤ(Festuca myuros L.),ネズミムギおよびヒメコバンソウ(Briza minor L.)の出現確率と正の関係にあった。これらの結果から,耕作履歴のある,カルシウム含量や開空率の高い場所で重点的に外来植物の防除とモニタリングを行う必要があると考えられた。
ISSN:0372-798X
1882-4757
DOI:10.3719/weed.61.61