腹腔鏡と前方アプローチ併用手術を行った疼痛を伴う再発鼠径ヘルニアの1例

症例は74歳の男性で,右外鼠径ヘルニアに対しヘルニア修復術(mesh plug法)を施行した.術後より右鼠径部痛を認めていたが改善せず,術後6カ月で受診した.腹圧をかけると右鼠径部の膨隆を認め,右鼠径ヘルニアの再発と診断した.また,右鼠径部から大腿内側への痛みがみられた.ヘルニア修復術後7カ月で手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,再発形式は内鼠径ヘルニアであった.腹腔鏡下でplugを除去後,前方アプローチで鼠径管を開放すると,onlay patchが恥骨上で反転し,同部位で再発していた.Onlay patchに腸骨下腹神経が癒着しており,慢性疼痛の原因と考えた.Onlay patchを除去し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 10; pp. 2193 - 2196
Main Authors 藤枝, 裕倫, 余語, 孝乃助, 新井, 利幸, 関, 崇, 平松, 聖史, 雨宮, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2193

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Summary:症例は74歳の男性で,右外鼠径ヘルニアに対しヘルニア修復術(mesh plug法)を施行した.術後より右鼠径部痛を認めていたが改善せず,術後6カ月で受診した.腹圧をかけると右鼠径部の膨隆を認め,右鼠径ヘルニアの再発と診断した.また,右鼠径部から大腿内側への痛みがみられた.ヘルニア修復術後7カ月で手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると,再発形式は内鼠径ヘルニアであった.腹腔鏡下でplugを除去後,前方アプローチで鼠径管を開放すると,onlay patchが恥骨上で反転し,同部位で再発していた.Onlay patchに腸骨下腹神経が癒着しており,慢性疼痛の原因と考えた.Onlay patchを除去し,腸骨下腹神経も切除した.閉創後,腹腔鏡下経腹的腹膜前メッシュ修復法(TAPP法)にてヘルニア修復を行った.術後,慢性疼痛は消失し経過良好,術後1年が経過し,慢性疼痛やヘルニアの再発は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2193