脳死下膵腎同時移植後に発症したサイトメガロウイルス腸炎の1例

患者は54歳,男性.21歳時に1型糖尿病を発症.平成18年に脳死ドナーが発生し,脳死下膵腎同時移植が施行された.血清中CMV抗体はドナー:陽性,レシピエント:陰性のため術後にganciclovir(GCV)を8日間予防投与した.術後27日目より下痢が出現し,CMVアンチゲネミア陽性を呈した.GCVの投与を再開したところ,症状ならびにCMVアンチゲネミアが改善したので術後55日目に退院となった.しかし,退院後5日目より発熱と頻回の下痢が出現したため再入院となった.大腸ファイバー検査では盲腸から直腸にかけて小発赤斑が散在していた.発赤部粘膜の病理組織所見では免疫染色にてCMV陽性細胞を認めたためC...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 3; pp. 594 - 597
Main Authors 文元, 雄一, 菰田, 弘, 伊藤, 壽記, 西田, 俊朗, 澤, 芳樹, 種村, 匡弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.594

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Summary:患者は54歳,男性.21歳時に1型糖尿病を発症.平成18年に脳死ドナーが発生し,脳死下膵腎同時移植が施行された.血清中CMV抗体はドナー:陽性,レシピエント:陰性のため術後にganciclovir(GCV)を8日間予防投与した.術後27日目より下痢が出現し,CMVアンチゲネミア陽性を呈した.GCVの投与を再開したところ,症状ならびにCMVアンチゲネミアが改善したので術後55日目に退院となった.しかし,退院後5日目より発熱と頻回の下痢が出現したため再入院となった.大腸ファイバー検査では盲腸から直腸にかけて小発赤斑が散在していた.発赤部粘膜の病理組織所見では免疫染色にてCMV陽性細胞を認めたためCMV腸炎と確定診断した.CMV抗体陽性ドナーからCMV抗体陰性レシピエントへの膵移植症例はCMV感染症のハイリスクグループであるため強力な予防対策ならびに注意深い経過観察が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.594