切除した肝細胞癌術後後腹膜転移の1例

症例は72歳,男性.C型肝炎で通院中に,2012年1月のCTで肝細胞癌(hepatocellular carcinoma以下HCC)を指摘され,当院を受診した.CT・MRIで肝S7とS8に2個のHCCを認め,同年3月に腹腔鏡補助下肝部分切除術を施行した.その後4度の肝内再発を認め,いずれもRFAを施行した.5度目の再発時は右腎上極近傍に10mm大の腫瘤が存在し,2014年4月に小開腹腫瘤摘出術を行った.腫瘤は後腹膜に存在していた.その後も4度肝内再発し,RFAを施行した.2016年2月のCTで右腎周囲に20mm以下,20個以上の腫瘤が出現し手術を希望された.術中所見では明らかな腹膜播種はなく,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 12; pp. 2490 - 2494
Main Authors 遠藤, 真英, 尾関, 豊, 小久保, 健太郎, 山本, 淳史, 坂下, 文夫, 今井, 直基, 山田, 鉄也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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Summary:症例は72歳,男性.C型肝炎で通院中に,2012年1月のCTで肝細胞癌(hepatocellular carcinoma以下HCC)を指摘され,当院を受診した.CT・MRIで肝S7とS8に2個のHCCを認め,同年3月に腹腔鏡補助下肝部分切除術を施行した.その後4度の肝内再発を認め,いずれもRFAを施行した.5度目の再発時は右腎上極近傍に10mm大の腫瘤が存在し,2014年4月に小開腹腫瘤摘出術を行った.腫瘤は後腹膜に存在していた.その後も4度肝内再発し,RFAを施行した.2016年2月のCTで右腎周囲に20mm以下,20個以上の腫瘤が出現し手術を希望された.術中所見では明らかな腹膜播種はなく,Gerota筋膜と連続する後腹膜を右腎とともに一塊にして広範囲に切除した.病理組織診断はHCCの再発であった.術後2年の現在,肝再発生存中であり,肝細胞癌の後腹膜播種に対し外科的切除は有効であると考えた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2490