副咽頭間隙に発生した海綿状血管腫の1手術例

今回われわれは副咽頭間隙に発生した海綿状血管腫の極めてまれな1例を経験した。患者は66歳の男性で主訴は嚥下時の違和感であった。MRI画像上,右副咽頭間隙に境界明瞭な楕円形の腫瘤を認めたため神経原性腫瘍と診断し,経耳下腺経頸部複合アプローチ法により腫瘍を摘出した。ところが術後の病理学的所見により最終的に海綿状血管腫と診断された。副咽頭間隙に初発した海綿状血管腫の報告はわれわれの渉猟しえた範囲では海外の報告と併せても3例のみであった。本症例においては術中の大量出血は認められなかった。血管原性腫瘍は術中出血のリスクが高いため術前に確定診断をつけておくことは重要であるが,本症例のように確定診断が得られ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 26; no. 1; pp. 109 - 113
Main Authors 真栄田, 裕行, 當山, 昌那, 又吉, 宣, 鈴木, 幹男, 安慶名, 信也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.26.109

Cover

More Information
Summary:今回われわれは副咽頭間隙に発生した海綿状血管腫の極めてまれな1例を経験した。患者は66歳の男性で主訴は嚥下時の違和感であった。MRI画像上,右副咽頭間隙に境界明瞭な楕円形の腫瘤を認めたため神経原性腫瘍と診断し,経耳下腺経頸部複合アプローチ法により腫瘍を摘出した。ところが術後の病理学的所見により最終的に海綿状血管腫と診断された。副咽頭間隙に初発した海綿状血管腫の報告はわれわれの渉猟しえた範囲では海外の報告と併せても3例のみであった。本症例においては術中の大量出血は認められなかった。血管原性腫瘍は術中出血のリスクが高いため術前に確定診断をつけておくことは重要であるが,本症例のように確定診断が得られない場合においても,当術式で十分に対応が可能であると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.26.109