広島県におけるヒト免疫不全ウイルス (HIV-1) の分離とV3領域遺伝子の解析

後天性免疫不全ウイルス (HIV) 感染者の血液検体について, 抗体検査と同時にウイルスの分離と末梢血単核球内プロウイルスのenv遺伝子V3領域の遺伝子配列を直接法により調べた.正常PHA-Blastとの混合培養で, 27検体のうち18検体 (Rapid/Highタイプ: 4検体, Slow/Lowタイプ: 12検体, その中間: 2検体) が分離陽性であった.臨床ステージCDC-IIの検体からは64%, CDC-IVの検体からは100%分離され, 全体の分離率は67%であった.潜伏期感染者の検体からのウイルス分離には, さらに方法の改善が必要と考えられた.末梢血単核球中のCD8陽性リンパ球の...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 70; no. 9; pp. 931 - 937
Main Authors 徳本, 静代, 豊田, 安基江, 松田, 俊二, 野田, 雅博, 宮田, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.09.1996
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.931

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Summary:後天性免疫不全ウイルス (HIV) 感染者の血液検体について, 抗体検査と同時にウイルスの分離と末梢血単核球内プロウイルスのenv遺伝子V3領域の遺伝子配列を直接法により調べた.正常PHA-Blastとの混合培養で, 27検体のうち18検体 (Rapid/Highタイプ: 4検体, Slow/Lowタイプ: 12検体, その中間: 2検体) が分離陽性であった.臨床ステージCDC-IIの検体からは64%, CDC-IVの検体からは100%分離され, 全体の分離率は67%であった.潜伏期感染者の検体からのウイルス分離には, さらに方法の改善が必要と考えられた.末梢血単核球中のCD8陽性リンパ球のウイルス分離におよぼす影響を調べるため, 検体の末梢血単核球およびPHA.blastよりCD8陽性リンパ球を除去し, 種々の組み合わせによりウイルス分離を試みた.しかし, 分離効率に一定の影響はみられず, ウイルス分離に対するCD8陽性細胞の作用は不明であった.さらに, 異なる患者から得た6検体 (Rapid/Highタイプ2検体, Slow/Lowタイプ4検体) につき直接法によりenv遺伝子V3領域の遺伝子解析を行いアミノ酸配列を比較した.何れもHIV-1サブタイプBに属していたが, Rapid/HighタイプとSlow/LowタイプのV3領域のアミノ酸配列は3カ所で相違がみられ, 感染性との関連が考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.931