大網による小腸絞扼性イレウスの1例

症例は80歳, 女性. 心窩部痛と嘔吐を主訴に前医を受診. 既往歴に狭心症に対してステント加療されていたが, 循環器疾患が否定され, 経過観察目的にて当院入院となる. 入院時には腹部全体に圧痛を認めたが, 筋性防御は認めなかった. 腹部CT検査によりイレウスと診断し, 胃管を挿入するもほとんど排液なく, 排ガスも認めなかった. 入院翌日には腹部膨満と腹痛が増悪し, 絞扼性イレウス疑いの診断にて緊急手術施行. 手術所見では, 血性腹水を多量に認め, 小腸の一部が大網により絞扼され, 壊死していた. このため大網を一部切除の上, 壊死腸管を切除し, 一期的に端々吻合を行った. 術後経過は特に異常を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 4; pp. 874 - 877
Main Authors 川添, 義行, 井上, 雅文, 青松, 敬補
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.874

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Summary:症例は80歳, 女性. 心窩部痛と嘔吐を主訴に前医を受診. 既往歴に狭心症に対してステント加療されていたが, 循環器疾患が否定され, 経過観察目的にて当院入院となる. 入院時には腹部全体に圧痛を認めたが, 筋性防御は認めなかった. 腹部CT検査によりイレウスと診断し, 胃管を挿入するもほとんど排液なく, 排ガスも認めなかった. 入院翌日には腹部膨満と腹痛が増悪し, 絞扼性イレウス疑いの診断にて緊急手術施行. 手術所見では, 血性腹水を多量に認め, 小腸の一部が大網により絞扼され, 壊死していた. このため大網を一部切除の上, 壊死腸管を切除し, 一期的に端々吻合を行った. 術後経過は特に異常を認めず退院となった. 絞扼性イレウスの診断は困難なことが多いが, 早期の手術施行が望ましかったと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.874