審査腹腔鏡で確定診断した大網脂肪腫による大網捻転の1例

46歳,女性.来院3日前に心窩部痛が出現,その後,増悪と寛解を繰り返し下腹部に移動した.来院当日に下腹部痛で近医を受診し,筋性防御やMcBurney点圧痛などから急性虫垂炎や憩室炎による腹膜炎疑いで当院紹介となった.入院時,血液検査で炎症反応上昇,造影CTで脂肪濃度の骨盤内腫瘍と腫瘍に流入する動脈の途絶を認めた.大網腫瘍を先端にした大網捻転による腫瘍壊死を疑ったが,確定診断,緊急切除を含む治療方針決定のため緊急審査腹腔鏡を施行した.腹腔鏡下に,腫瘍が可動性良好であること,腫瘍を先端とした大網捻転の状態であることを確認できたが,腫瘍が巨大であったため開腹手術に移行,腫瘍と連続する一部大網を切除し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 12; pp. 2526 - 2530
Main Authors 中島, 高広, 藤田, 恒憲, 上田, 隆, 大野, 伯和, 楠, 信也, 大宮, 悟志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2526

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Summary:46歳,女性.来院3日前に心窩部痛が出現,その後,増悪と寛解を繰り返し下腹部に移動した.来院当日に下腹部痛で近医を受診し,筋性防御やMcBurney点圧痛などから急性虫垂炎や憩室炎による腹膜炎疑いで当院紹介となった.入院時,血液検査で炎症反応上昇,造影CTで脂肪濃度の骨盤内腫瘍と腫瘍に流入する動脈の途絶を認めた.大網腫瘍を先端にした大網捻転による腫瘍壊死を疑ったが,確定診断,緊急切除を含む治療方針決定のため緊急審査腹腔鏡を施行した.腹腔鏡下に,腫瘍が可動性良好であること,腫瘍を先端とした大網捻転の状態であることを確認できたが,腫瘍が巨大であったため開腹手術に移行,腫瘍と連続する一部大網を切除した.病理診断は脂肪腫で,変性壊死を伴っていた.大網脂肪腫による大網捻転は非常にまれで,審査腹腔鏡が診断および治療方針の決定に有用であったので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2526