術後9年目に大動脈周囲リンパ節再発をきたした直腸癌の1例

症例は73歳の女性で,9年前に直腸癌(pSS,pN1,cM0;fStage IIIa)に対し低位前方切除術を施行された.その後,2年間の術後補助化学療法を受け,近医で経過観察されていた.フォローアップ中に腫瘍マーカーの増加(CEA 142.1ng/ml,CA19-9 789.2U/ml)を認めたため当院へ紹介となった.腹部CT上,大動脈分岐部直下および左総腸骨動脈領域にリンパ節腫大を認めた.全身精査で明らかな原発巣を示す病変はみられず,直腸癌のリンパ節再発と判断し放射線化学療法を開始した.治療後,速やかに腫瘍は縮小し腫瘍マーカーも減少した.しかし,8カ月後に再燃し,化学療法を継続するも徐々に病...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 10; pp. 2828 - 2833
Main Authors 永安, 武, 富永, 哲郎, 竹下, 浩明, 澤井, 照光, 黨, 和夫, 七島, 篤志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2828

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Summary:症例は73歳の女性で,9年前に直腸癌(pSS,pN1,cM0;fStage IIIa)に対し低位前方切除術を施行された.その後,2年間の術後補助化学療法を受け,近医で経過観察されていた.フォローアップ中に腫瘍マーカーの増加(CEA 142.1ng/ml,CA19-9 789.2U/ml)を認めたため当院へ紹介となった.腹部CT上,大動脈分岐部直下および左総腸骨動脈領域にリンパ節腫大を認めた.全身精査で明らかな原発巣を示す病変はみられず,直腸癌のリンパ節再発と判断し放射線化学療法を開始した.治療後,速やかに腫瘍は縮小し腫瘍マーカーも減少した.しかし,8カ月後に再燃し,化学療法を継続するも徐々に病態は進行し,再発より4年1カ月後に永眠した.今回われわれは,直腸癌根治切除後に9年という長期経過を経て再発をきたした症例を経験したため報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2828