胆道閉鎖症手術の逆流防止弁が原因と考えられた小腸捻転症の1例
症例は,24歳の女性。生後2ヵ月で胆道閉鎖症に対し逆流防止弁作成術を付加された葛西手術を施行されている。2009年5月に下腹部痛を主訴に当院を紹介受診した。腹部所見で腹膜刺激症状を認めたため,緊急手術を施行した。術中所見では挙上空腸が著明に拡張し,肝床部よりRoux-en-Y吻合脚部にかけて捻転していた。捻転を解除し,虚血性変化の強かった腸管を約20cm切除した。切除検体で逆流防止弁より口側の腸管は著明に拡張しており,逆流防止弁の内腔は直径約5mmと狭窄を認めた。捻転をきたした原因の一つとして逆流防止弁による胆汁うっ滞,腸管拡張が考えられた。胆道閉鎖症は治療成績の向上とともにその晩期合併症が問...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 807 - 810 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2011
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.31.807 |
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Summary: | 症例は,24歳の女性。生後2ヵ月で胆道閉鎖症に対し逆流防止弁作成術を付加された葛西手術を施行されている。2009年5月に下腹部痛を主訴に当院を紹介受診した。腹部所見で腹膜刺激症状を認めたため,緊急手術を施行した。術中所見では挙上空腸が著明に拡張し,肝床部よりRoux-en-Y吻合脚部にかけて捻転していた。捻転を解除し,虚血性変化の強かった腸管を約20cm切除した。切除検体で逆流防止弁より口側の腸管は著明に拡張しており,逆流防止弁の内腔は直径約5mmと狭窄を認めた。捻転をきたした原因の一つとして逆流防止弁による胆汁うっ滞,腸管拡張が考えられた。胆道閉鎖症は治療成績の向上とともにその晩期合併症が問題となってきている。自験例では逆流防止弁が絞扼性イレウスの発症起点となった可能性が示唆された。逆流防止弁付加術が施行された本症においては,イレウス症状など腹部所見に留意する必要があると考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.31.807 |