被膜間摘出術を行った頸部神経鞘腫症例の検討

2005年4月から2015年1月までの間に昭和大学頭頸部腫瘍センターで頸部神経鞘腫に対し,被膜間摘出術を施行した38例を対象とし,術前の神経症状,術後の神経症状について検討した。 結果は,全症例での術後の神経脱落症状の発生率は8例(21.1%)であり,このうち永続性の麻痺は2例(5.3%),一過性の麻痺は6例(15.8%)であったが,日常生活に支障をきたす症例は認められなかった。由来神経別では迷走神経で12例中3例(25.0%でそのうち永続性16.7%,一過性8.3%であった。永続性の1例は術前から咳嗽発作を認め,術後一旦悪化しその後術前と同程度となった症例と声帯麻痺が残存した症例である。),...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 25; no. 2; pp. 185 - 189
Main Authors 池谷, 洋一, 川口, 顕一郎, 林, 武史, 櫛橋, 幸民, 河村, 陽二郎, 池田, 賢一郎, 江川, 峻哉, 中村, 泰介, 嶋根, 俊和, 北田, 良裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.25.185

Cover

More Information
Summary:2005年4月から2015年1月までの間に昭和大学頭頸部腫瘍センターで頸部神経鞘腫に対し,被膜間摘出術を施行した38例を対象とし,術前の神経症状,術後の神経症状について検討した。 結果は,全症例での術後の神経脱落症状の発生率は8例(21.1%)であり,このうち永続性の麻痺は2例(5.3%),一過性の麻痺は6例(15.8%)であったが,日常生活に支障をきたす症例は認められなかった。由来神経別では迷走神経で12例中3例(25.0%でそのうち永続性16.7%,一過性8.3%であった。永続性の1例は術前から咳嗽発作を認め,術後一旦悪化しその後術前と同程度となった症例と声帯麻痺が残存した症例である。),腕神経叢で9例中2例(22.2%で全て一過性),頸神経と副神経で11例中1例(9.1%で全て一過性)であった。舌神経と顔面神経由来が各1例中1例で一過性麻痺を生じていた。交感神経では3例と症例が少ないが術後の神経脱落症状は認められなかった。 本術式で手術を行えば経過観察ではなく手術の選択肢も増えてくるのではないかと考えられ,手術,経過観察におけるそれぞれのメリット,デメリットを十分にインフォームドコンセントし診療に当たらなければならないと考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.25.185