髄膜癌腫症を呈したS状結腸癌の1例

症例は47歳,男性.他院にてS状結腸癌に対し,姑息的バイパス手術施行後,mFOLFOX6+bevacizumabを行ったのち,S状結腸切除術を行った.病期診断はStage IVであった.その後,当科紹介となり,術後補助化学療法としてmFOLFOX6を6クール施行.S状結腸切除から10カ月後,頭痛・嘔吐・頸部痛が出現し緊急入院した.髄液細胞診にて髄膜癌腫症と診断された.症状緩和目的にて全脳照射(30Gy/10Fr)を施行し,第30病日に退院した.しかし,意識と呼吸状態が悪化し,緊急入院した.症状悪化し,S状結腸切除から12カ月後に原病死した.大腸癌の髄膜癌腫症は稀であるが,特に組織学的に高悪性度...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 12; pp. 3317 - 3321
Main Authors 小嶋, 啓子, 上田, 正射, 大西, 直, 野中, 亮児, 藤江, 裕二郎, 門田, 卓士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.3317

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Summary:症例は47歳,男性.他院にてS状結腸癌に対し,姑息的バイパス手術施行後,mFOLFOX6+bevacizumabを行ったのち,S状結腸切除術を行った.病期診断はStage IVであった.その後,当科紹介となり,術後補助化学療法としてmFOLFOX6を6クール施行.S状結腸切除から10カ月後,頭痛・嘔吐・頸部痛が出現し緊急入院した.髄液細胞診にて髄膜癌腫症と診断された.症状緩和目的にて全脳照射(30Gy/10Fr)を施行し,第30病日に退院した.しかし,意識と呼吸状態が悪化し,緊急入院した.症状悪化し,S状結腸切除から12カ月後に原病死した.大腸癌の髄膜癌腫症は稀であるが,特に組織学的に高悪性度の症例において頭痛や神経症状を認めた際は本症を疑いMRIや髄液穿刺を計画すべきである.診断,治療法について文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.3317