IPOM Plus法が有用であった腎移植後腹壁瘢痕ヘルニアの1例

症例は66歳,男性.腎移植のため,左斜切開にて手術された術後創に,18×11cmの腹壁瘢痕ヘルニアが生じており,この病変に対して1年3カ月目に,通常のメッシュを用いた腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術(intraperitoneal onlay mesh法:以下,IPOM法)に腹壁縫合を加えたIPOM Plus法を行った.術後は目立った合併症なく,術後3年現在,再発なく経過観察中である. 腎移植術後に発生した腹壁瘢痕ヘルニアは範囲も比較的大きく,初回手術が側腹部の斜切開で行われた後に生じた巨大なヘルニアであるため著しく左右差を生じている状態であり,通常のIPOM法ではこの左右差に対応することは困難...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 11; pp. 2546 - 2550
Main Authors 吉岡, 慎一, 斎藤, 明菜, 福永, 睦, 岡, 義雄, 小林, 研二, 根津, 理一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:症例は66歳,男性.腎移植のため,左斜切開にて手術された術後創に,18×11cmの腹壁瘢痕ヘルニアが生じており,この病変に対して1年3カ月目に,通常のメッシュを用いた腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術(intraperitoneal onlay mesh法:以下,IPOM法)に腹壁縫合を加えたIPOM Plus法を行った.術後は目立った合併症なく,術後3年現在,再発なく経過観察中である. 腎移植術後に発生した腹壁瘢痕ヘルニアは範囲も比較的大きく,初回手術が側腹部の斜切開で行われた後に生じた巨大なヘルニアであるため著しく左右差を生じている状態であり,通常のIPOM法ではこの左右差に対応することは困難である. 本術式は低侵襲であり,縫合を加えることにより斜切開で初回手術を行ったような巨大腹壁瘢痕ヘルニアの左右差を改善できる有用な方法であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2546