胃破裂による汎発性腹膜炎で発症した膵体部癌の1例

患者は63歳・女性。腹部全体の激痛を主訴に救急車で近医を受診し,単純CT検査で腹腔内遊離ガスと腹水貯留を認め,急性汎発性腹膜炎の診断で当院に緊急搬送された。緊急開腹術を施行し,胃体部後壁の破裂による汎発性腹膜炎の状態であった。また,上部空腸に浸潤する膵体部腫瘍と複数の腹膜播種による小結節を認め,進行膵体部癌による癌性腹膜炎と考えられた。胃破裂の主たる原因は膵体部癌浸潤による上部空腸閉塞のための胃内圧上昇と推察した。しかし,頻回の嘔吐もなく胃体部後壁に破裂を生じた機序は不明で珍しい症例と考えられた。...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 30; no. 3; pp. 459 - 461
Main Authors 徳毛, 誠樹, 村岡, 孝幸, 治田, 賢, 岡, 智, 大橋, 龍一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
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Summary:患者は63歳・女性。腹部全体の激痛を主訴に救急車で近医を受診し,単純CT検査で腹腔内遊離ガスと腹水貯留を認め,急性汎発性腹膜炎の診断で当院に緊急搬送された。緊急開腹術を施行し,胃体部後壁の破裂による汎発性腹膜炎の状態であった。また,上部空腸に浸潤する膵体部腫瘍と複数の腹膜播種による小結節を認め,進行膵体部癌による癌性腹膜炎と考えられた。胃破裂の主たる原因は膵体部癌浸潤による上部空腸閉塞のための胃内圧上昇と推察した。しかし,頻回の嘔吐もなく胃体部後壁に破裂を生じた機序は不明で珍しい症例と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.459