鼠径部ヘルニア嵌頓症例に対するクーゲル法による手術治療

はじめに:鼠径部ヘルニアに対してのメッシュを用いた修復法は一般的となったが,嵌頓症例においては感染の面から敬遠されることが多く,腸管壊死を伴い腸管切除を要する場合には最近まで禁忌とも言われてきた.今回われわれは鼠径部ヘルニア嵌頓症例に対するクーゲル法による修復術について検討した.対象:2006年1月より2008年12月までに当科で施行した鼠径部ヘルニア嵌頓症例は67例であり,45例はクーゲル法による修復を行い22例は従来法(McVay法あるいはiliopubic tract法)で行った.結果:腸切除を要したものはクーゲル法では9例(20.0%)で従来法では16例(72.7%)であった.クーゲル...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 3; pp. 643 - 647
Main Authors 淺野, 博, 大原, 泰宏, 廣岡, 映治, 多賀, 誠, 小川, 展二, 篠塚, 望, 小山, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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Summary:はじめに:鼠径部ヘルニアに対してのメッシュを用いた修復法は一般的となったが,嵌頓症例においては感染の面から敬遠されることが多く,腸管壊死を伴い腸管切除を要する場合には最近まで禁忌とも言われてきた.今回われわれは鼠径部ヘルニア嵌頓症例に対するクーゲル法による修復術について検討した.対象:2006年1月より2008年12月までに当科で施行した鼠径部ヘルニア嵌頓症例は67例であり,45例はクーゲル法による修復を行い22例は従来法(McVay法あるいはiliopubic tract法)で行った.結果:腸切除を要したものはクーゲル法では9例(20.0%)で従来法では16例(72.7%)であった.クーゲル法では創感染や縫合不全などの合併症はなく再発も見られなかった.結語:嵌頓症例に対するクーゲル法による修復術は症例によっては可能であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.643