右腸腰筋から発生した胞巣状軟部肉腫の1例

症例は34歳,女性.近医での卵巣子宮内膜症性嚢胞の経過観察のMRIで,後腹膜腫瘍を指摘された.腹部造影CTでは,右腸腰筋内に複数の動静脈が関与する多血性分葉状腫瘤と多発肺転移を認めた.MRIでは,腫瘍は内部に壊死や線維化を伴う多血性腫瘍で,血管性悪性腫瘍が疑われた.術前に支配動脈塞栓術を施行し,腫瘍生検を施行した.術中所見では,腫瘍は右腸腰筋内に存在し,複数の動静脈や腰神経を巻き込んでいた.腰神経切断後は歩けなくなる恐れがあるため,腫瘍の全摘出ではなく腫瘍の一部の生検のみとした.病理組織学的検査では,免疫染色でTFE3およびcathepsin Kが陽性であり,胞巣状軟部肉腫と診断した.術後はP...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 11; pp. 2780 - 2784
Main Authors 宗本, 義則, 高嶋, 吉浩, 寺田, 卓郎, 佐野, 史穂, 斎藤, 健一郎, 三井, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2780

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Summary:症例は34歳,女性.近医での卵巣子宮内膜症性嚢胞の経過観察のMRIで,後腹膜腫瘍を指摘された.腹部造影CTでは,右腸腰筋内に複数の動静脈が関与する多血性分葉状腫瘤と多発肺転移を認めた.MRIでは,腫瘍は内部に壊死や線維化を伴う多血性腫瘍で,血管性悪性腫瘍が疑われた.術前に支配動脈塞栓術を施行し,腫瘍生検を施行した.術中所見では,腫瘍は右腸腰筋内に存在し,複数の動静脈や腰神経を巻き込んでいた.腰神経切断後は歩けなくなる恐れがあるため,腫瘍の全摘出ではなく腫瘍の一部の生検のみとした.病理組織学的検査では,免疫染色でTFE3およびcathepsin Kが陽性であり,胞巣状軟部肉腫と診断した.術後はPazopanibやSunitinibを使用し,一時的ではあったが腫瘍の縮小も見られた.その後,他院にて全摘出術を施行した.胞巣状軟部肉腫の体幹部発生は稀であり,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2780