Johanson-Blizzard症候群患者に発生し腹腔鏡手術を行った急性胆嚢炎の1例

Johanson-Blizzard症候群(以下JBSと略記)は膵外分泌機能不全と外胚葉由来の小奇形を合併する常染色体劣性遺伝の奇形症候群で,これまでに世界で約100例の報告があるのみの極めて稀な疾患である.本邦で本疾患患者への腹腔鏡手術報告例はない.症例は25歳の女性.幼少期にJBSと診断され,原発性無月経に対して治療中であった.心窩部痛を主訴に前医を受診し,胆嚢炎の疑いで当院紹介となった.腹部MRI検査では胆嚢は頭尾方向に約13cmにわたる特異な形態を呈し,JBSにおける奇形の一部とも考えられた.胆嚢頸部に結石が嵌頓し胆嚢壁肥厚も認め,胆石性急性胆嚢炎と診断し,緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 10; pp. 2307 - 2311
Main Authors 齋藤, 範之, 小林, 敦夫, 叶多, 寿史, 塩入, 利一, 高田, 厚, 河原, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:Johanson-Blizzard症候群(以下JBSと略記)は膵外分泌機能不全と外胚葉由来の小奇形を合併する常染色体劣性遺伝の奇形症候群で,これまでに世界で約100例の報告があるのみの極めて稀な疾患である.本邦で本疾患患者への腹腔鏡手術報告例はない.症例は25歳の女性.幼少期にJBSと診断され,原発性無月経に対して治療中であった.心窩部痛を主訴に前医を受診し,胆嚢炎の疑いで当院紹介となった.腹部MRI検査では胆嚢は頭尾方向に約13cmにわたる特異な形態を呈し,JBSにおける奇形の一部とも考えられた.胆嚢頸部に結石が嵌頓し胆嚢壁肥厚も認め,胆石性急性胆嚢炎と診断し,緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.胆嚢底部が腸骨稜の高さで広範に大網との癒着を形成しており,癒着剥離に難渋したが,合併症なく手術は終了した.JBSに対する緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を経験したので,若干の文献的考察を加味しここに報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2307