副流出路に対しマイクロバルーンカテーテル併用によるダブルバルーン下逆行性経静脈的塞栓術が有用であった孤立性胃穹窿部静脈瘤の1例

症例は43歳女性.2005年8月飲酒後,吐血し,救急車にて某院搬送入院.上部消化管内視鏡にて孤立性胃穹窿部静脈瘤からの出血を認めたが,自然止血にて経過観察していた.再出血の可能性を認め,バルーン下逆行性経静脈的塞栓術目的に当院へ紹介転院となった.造影CTにて胃内腔へ突出する胃静脈瘤とそれに連続する胃腎短絡路を認めた.胃腎短絡路の存在からバルーン下逆行性経静脈的塞栓術可能と判断し,血管造影施行.右内頸静脈により6Frバルーンカテーテルを胃腎短絡路に挿入,逆行性造影を施行したところ,造影剤は通常より左側の細い胃腎短絡路より流出し,胃静脈瘤本体への造影剤の停滞は不十分であった.そこで,右大腿静脈から...

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Published in肝臓 Vol. 50; no. 2; pp. 71 - 74
Main Authors 樋口, 和男, 関, 慶一, 上村, 博輝, 太田, 宏信, 上村, 朝輝, 石川, 達, 今井, 径卓, 吉田, 俊明, 渡辺, 孝治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2009
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.50.71

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Summary:症例は43歳女性.2005年8月飲酒後,吐血し,救急車にて某院搬送入院.上部消化管内視鏡にて孤立性胃穹窿部静脈瘤からの出血を認めたが,自然止血にて経過観察していた.再出血の可能性を認め,バルーン下逆行性経静脈的塞栓術目的に当院へ紹介転院となった.造影CTにて胃内腔へ突出する胃静脈瘤とそれに連続する胃腎短絡路を認めた.胃腎短絡路の存在からバルーン下逆行性経静脈的塞栓術可能と判断し,血管造影施行.右内頸静脈により6Frバルーンカテーテルを胃腎短絡路に挿入,逆行性造影を施行したところ,造影剤は通常より左側の細い胃腎短絡路より流出し,胃静脈瘤本体への造影剤の停滞は不十分であった.そこで,右大腿静脈から6Frシェファードフックカテーテルを左腎静脈に挿入し,マイクロバルーンカテーテルを細い短絡路に挿入し,閉塞下に造影したところ,十分な静脈瘤血行路の描出が得られ,閉塞が可能となり,2カ所の閉塞により胃静脈瘤への造影剤の停滞が十分であると判断し,5%EOIを注入し塞栓可能となった.術後CTにても短絡路は消失し,胃静脈瘤は消失した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.50.71