胃悪性リンパ腫による自然穿孔の1例

症例は91歳女性,心窩部痛を主訴に救急外来を受診した.腹部CTで胃前庭部に全周性の壁肥厚,腹腔内遊離ガス像と肝表面に腹水を認めた.胃癌穿孔と診断し緊急手術を施行した.術中所見で胃体中部の胃壁が穿孔しており,穿孔部の周囲はびまん性に硬化を認めた.幽門側胃切除術,D1郭清,BillrothII法再建を施行した.病理学的診断は胃悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)であった.胃大弯側リンパ節に2個転移を認めたが遠隔転移や腹膜播種を認めず,Lugano国際分類でII1E期であった.術後化学療法は施行しなかった.術後8カ月の現在無再発生存中である. 胃悪性リンパ腫による自然穿孔はまれであるため...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 11; pp. 2830 - 2834
Main Authors 砂川, 真輝, 磯谷, 正敏, 原田, 徹, 金岡, 祐次, 前田, 敦行, 高山, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:症例は91歳女性,心窩部痛を主訴に救急外来を受診した.腹部CTで胃前庭部に全周性の壁肥厚,腹腔内遊離ガス像と肝表面に腹水を認めた.胃癌穿孔と診断し緊急手術を施行した.術中所見で胃体中部の胃壁が穿孔しており,穿孔部の周囲はびまん性に硬化を認めた.幽門側胃切除術,D1郭清,BillrothII法再建を施行した.病理学的診断は胃悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)であった.胃大弯側リンパ節に2個転移を認めたが遠隔転移や腹膜播種を認めず,Lugano国際分類でII1E期であった.術後化学療法は施行しなかった.術後8カ月の現在無再発生存中である. 胃悪性リンパ腫による自然穿孔はまれであるため,報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2830