非常に稀な肺原発良性脊索細胞腫の1例
症例は35歳男性.健康診断にて胸部異常影を指摘されるが,経過観察されていた.4年後の健康診断で異常影がわずかに増大したため,当科受診となった.胸部CTでは,右肺上葉に5 mmの境界明瞭な結節影を認めた.過誤腫等の良性腫瘍を疑い,確定診断・治療目的に鏡視下手術を施行した.右肺上葉部分切除術を施行したが,迅速組織診断では肺腫瘍としては珍しい粘液様腫瘍であり,良悪性の診断は困難であった.病理組織学的には,腫瘍細胞がシート状に配列しており,免疫組織学的にBrachyury陽性であったが核異型・分葉構造が見られず,骨外性の良性脊索腫と診断された.術後の再度の全身スクリーニングでも腫瘍性病変は認められず,...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 34 - 38 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.32.34 |
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Summary: | 症例は35歳男性.健康診断にて胸部異常影を指摘されるが,経過観察されていた.4年後の健康診断で異常影がわずかに増大したため,当科受診となった.胸部CTでは,右肺上葉に5 mmの境界明瞭な結節影を認めた.過誤腫等の良性腫瘍を疑い,確定診断・治療目的に鏡視下手術を施行した.右肺上葉部分切除術を施行したが,迅速組織診断では肺腫瘍としては珍しい粘液様腫瘍であり,良悪性の診断は困難であった.病理組織学的には,腫瘍細胞がシート状に配列しており,免疫組織学的にBrachyury陽性であったが核異型・分葉構造が見られず,骨外性の良性脊索腫と診断された.術後の再度の全身スクリーニングでも腫瘍性病変は認められず,肺原発良性脊索腫と診断された.本例は世界で5例目の肺原発良性脊索腫であり,非常に稀である.術後経過は良好で,術後6ヵ月現在再発を認めていない. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.32.34 |