進行肺癌術後に小腸転移による腸重積をきたした1例
症例は58歳,男性.検診で胸部X線写真上の異常陰影を指摘された.CTで右上葉に胸壁浸潤を伴う最大径10cmの腫瘍が認められた.喀痰細胞診,擦過細胞診,経気管支肺生検で肺癌と診断された.cT3N0M0,StageIIBの評価で,右上葉切除術,第3,4肋骨合併切除,ND1を行った.病理組織標本では扁平上皮癌と低分化腺癌が混在していたが,免疫染色で低分化腺癌と診断された.病期はT3N2M0,StageIIIAであった.術後化学療法を行ったが,術後7カ月で脳転移が出現し,腫瘍摘出術,全頭蓋照射を行った.術後10カ月で癌性胸膜炎,縦隔リンパ節転移,腸閉塞をきたした.腹部CT,超音波検査で腫瘍による腸重積...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 3; pp. 772 - 777 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.70.772 |
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Summary: | 症例は58歳,男性.検診で胸部X線写真上の異常陰影を指摘された.CTで右上葉に胸壁浸潤を伴う最大径10cmの腫瘍が認められた.喀痰細胞診,擦過細胞診,経気管支肺生検で肺癌と診断された.cT3N0M0,StageIIBの評価で,右上葉切除術,第3,4肋骨合併切除,ND1を行った.病理組織標本では扁平上皮癌と低分化腺癌が混在していたが,免疫染色で低分化腺癌と診断された.病期はT3N2M0,StageIIIAであった.術後化学療法を行ったが,術後7カ月で脳転移が出現し,腫瘍摘出術,全頭蓋照射を行った.術後10カ月で癌性胸膜炎,縦隔リンパ節転移,腸閉塞をきたした.腹部CT,超音波検査で腫瘍による腸重積が疑われた.開腹術を行うと,回腸に腫瘍による重積がみられ,小腸切除術を行った.病理組織学的に肺癌の小腸転移と診断された.開腹術後第13病日に死亡した.肺癌の小腸転移による腸重積の本邦報告例を集計し,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.70.772 |