肺悪性黒色腫による難治性気胸の1例

症例は63歳男性.2000年胸部CT検診で両肺の多発嚢胞を指摘され,前医にて画像上ランゲルハンス細胞組織球症と診断のもとに経過観察されていた.2003年右気胸発症し,胸腔鏡下肺生検を施行して悪性黒色腫と診断された.全身の精密検査で他臓器に悪性黒色腫を認めず肺原発と診断されていた.以後も気胸を繰り返し発症したために2004年気胸治療目的に当院紹介となった.当院転院後,胸腔鏡下に肺部分切除ならびに再生酸化セルロースメッシュとフィブリン糊による胸膜カバーリング術を行った.6ヵ月後に気胸発症したため,再び胸腔鏡手術を施行した.腫瘍細胞がカバーリング効果により肥厚した臓側胸膜を越えて浸潤し,腫瘍が自壊し...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 67 - 72
Main Authors 溝渕, 輝明, 栗原, 正利, 片岡, 秀之, 江花, 弘基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.67

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Summary:症例は63歳男性.2000年胸部CT検診で両肺の多発嚢胞を指摘され,前医にて画像上ランゲルハンス細胞組織球症と診断のもとに経過観察されていた.2003年右気胸発症し,胸腔鏡下肺生検を施行して悪性黒色腫と診断された.全身の精密検査で他臓器に悪性黒色腫を認めず肺原発と診断されていた.以後も気胸を繰り返し発症したために2004年気胸治療目的に当院紹介となった.当院転院後,胸腔鏡下に肺部分切除ならびに再生酸化セルロースメッシュとフィブリン糊による胸膜カバーリング術を行った.6ヵ月後に気胸発症したため,再び胸腔鏡手術を施行した.腫瘍細胞がカバーリング効果により肥厚した臓側胸膜を越えて浸潤し,腫瘍が自壊して気胸を発症していた.2005年脳転移を認め,2007年に死亡した.気胸を繰り返す転移性肺悪性腫瘍に対して胸膜カバーリング術は気胸予防に有効である可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.67