同一肝亜区域内に混合型肝癌と肝細胞癌が存在した重複癌の1例―First case

症例は62歳,男性.C型慢性肝炎を背景とした肝S8内に2個の腫瘍を指摘され,当院を受診した.術前画像診断では,S8a, S8cの2個の肝細胞癌と診断し,肝S8部分切除が施行された.術中所見では,S8aの病変は白色調,S8cは緑色調であった.術後の病理結果で,S8aは混合型肝癌,S8cは肝細胞癌であり重複癌の状態であった.術前のCT, MRIを振り返ると,S8aの混合型肝癌は,不整形で,wash outがなく肝細胞癌とするにはやや非典型的な所見であり,術前診断の重要性を再認識した1例であった.本症例は,同一肝亜区域に混合型肝癌と肝細胞癌が存在する極めてまれな重複癌であった.調べうる限り同様の報告...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 10; pp. 692 - 697
Main Authors 宇賀, 公宣, 志摩, 泰生, 森田, 雅範, 岩田, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.692

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Summary:症例は62歳,男性.C型慢性肝炎を背景とした肝S8内に2個の腫瘍を指摘され,当院を受診した.術前画像診断では,S8a, S8cの2個の肝細胞癌と診断し,肝S8部分切除が施行された.術中所見では,S8aの病変は白色調,S8cは緑色調であった.術後の病理結果で,S8aは混合型肝癌,S8cは肝細胞癌であり重複癌の状態であった.術前のCT, MRIを振り返ると,S8aの混合型肝癌は,不整形で,wash outがなく肝細胞癌とするにはやや非典型的な所見であり,術前診断の重要性を再認識した1例であった.本症例は,同一肝亜区域に混合型肝癌と肝細胞癌が存在する極めてまれな重複癌であった.調べうる限り同様の報告はなく,若干の文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.692