肝血管病変を主徴候とした遺伝性出血性毛細血管拡張症の1例

症例は51歳女性.8年前にγ-GTP高値を指摘,近医の腹部エコーで肝内血管拡張を指摘されていたが,上部消化管内視鏡検査で食道,胃に異常なく,自覚症状もないため,経過観察されていた.健診エコーで肝内占拠性病変の疑いを指摘され来院.腹部エコーでは腫瘍性病変はないが,肝内血管拡張を認め,内部に動脈波を認めた.胸腹部造影CTでは,肝動脈瘤ならびに固有肝動脈から末梢にかけての動脈と門脈に拡張・蛇行を認め,動脈門脈シャントが疑われた.毛細血管拡張が舌と前腕に認められ,繰り返す鼻出血の既往があり遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と診断された.胸部CT,頭部MRIでは血管異常は見られなかった.他臓器に血...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 56; no. 11; pp. 596 - 602
Main Authors 畔元, 信明, 川村, 智恵, 須賀, 義文, 森, 健一郎, 二宮, 朋之, 相引, 利彦, 奥平, 知成, 宮田, 英樹, 平岡, 淳, 和泉, 清拓, 道堯, 浩二郎, 山子, 泰加
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.596

Cover

More Information
Summary:症例は51歳女性.8年前にγ-GTP高値を指摘,近医の腹部エコーで肝内血管拡張を指摘されていたが,上部消化管内視鏡検査で食道,胃に異常なく,自覚症状もないため,経過観察されていた.健診エコーで肝内占拠性病変の疑いを指摘され来院.腹部エコーでは腫瘍性病変はないが,肝内血管拡張を認め,内部に動脈波を認めた.胸腹部造影CTでは,肝動脈瘤ならびに固有肝動脈から末梢にかけての動脈と門脈に拡張・蛇行を認め,動脈門脈シャントが疑われた.毛細血管拡張が舌と前腕に認められ,繰り返す鼻出血の既往があり遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)と診断された.胸部CT,頭部MRIでは血管異常は見られなかった.他臓器に血管病変がない場合も,肝内血管の異常な拡張がみられた際はオスラー病を念頭に置くべきと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.596