増大傾向を示し脾摘術を行った無症候性脾辺縁帯リンパ腫の1例

72歳,男性.前立腺肥大に対する経過観察の腹部超音波検査にて,脾臓内に多発する低エコー腫瘤と軽度の脾腫を指摘された.転移性脾腫瘍の可能性を考え全身検索を行ったが,原発巣となる病変は認めなかった.多発脾腫瘍 (最大径10mm)は,半年後のCT検査にていずれも増大し,最大径は23mmに達した.全身リンパ節腫大やLDH上昇はみられなかったが,可溶性IL2レセプターは軽度の高値であり,増大傾向を示したことから悪性リンパ腫などの脾原発悪性腫瘍を否定できず,診断を兼ねた脾摘術の適応と判断した.用手補助腹腔鏡下脾摘出術にて無傷の脾臓を病理検査へ提出し,無症候の状態にて脾辺縁帯リンパ腫との診断を得,合併症なく...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 10; pp. 2175 - 2181
Main Authors 佐々木, 量矢, 坂本, 俊樹, 松井, 聡, 斎藤, 節
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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Summary:72歳,男性.前立腺肥大に対する経過観察の腹部超音波検査にて,脾臓内に多発する低エコー腫瘤と軽度の脾腫を指摘された.転移性脾腫瘍の可能性を考え全身検索を行ったが,原発巣となる病変は認めなかった.多発脾腫瘍 (最大径10mm)は,半年後のCT検査にていずれも増大し,最大径は23mmに達した.全身リンパ節腫大やLDH上昇はみられなかったが,可溶性IL2レセプターは軽度の高値であり,増大傾向を示したことから悪性リンパ腫などの脾原発悪性腫瘍を否定できず,診断を兼ねた脾摘術の適応と判断した.用手補助腹腔鏡下脾摘出術にて無傷の脾臓を病理検査へ提出し,無症候の状態にて脾辺縁帯リンパ腫との診断を得,合併症なく退院となった.本症例は,術後約6年となる現在まで再発なく経過しており,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2175