緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した胆嚢出血の1例

症例は80歳の男性.黒色便と心窩部不快感を主訴に救急車にて当院に搬送された.造影CTを施行し胆嚢出血と診断した.右下肢深部静脈血栓症に対しワーファリン内服中であり,著明なプロトロンビン時間の延長を認めたためビタミンK製剤の投与を行った.内視鏡的逆行性胆道造影を行い胆道ドレナージ目的に内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブを留置したが,血性排液が持続し,貧血の進行を認めることから入院翌日に緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢出血は上部消化管出血の1%前後と稀な病態ではあるが,出血性ショックとなることもあり迅速な診断加療を要する.本症例は,ワーファリン内服中に胆嚢出血をきたしたが,緊急腹腔鏡下胆嚢摘...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 12; pp. 2989 - 2993
Main Authors 木村, 純, 坂本, 譲, 田中, 友香, 植木, 伸也, 砂原, 正男, 大野, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2989

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Summary:症例は80歳の男性.黒色便と心窩部不快感を主訴に救急車にて当院に搬送された.造影CTを施行し胆嚢出血と診断した.右下肢深部静脈血栓症に対しワーファリン内服中であり,著明なプロトロンビン時間の延長を認めたためビタミンK製剤の投与を行った.内視鏡的逆行性胆道造影を行い胆道ドレナージ目的に内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブを留置したが,血性排液が持続し,貧血の進行を認めることから入院翌日に緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢出血は上部消化管出血の1%前後と稀な病態ではあるが,出血性ショックとなることもあり迅速な診断加療を要する.本症例は,ワーファリン内服中に胆嚢出血をきたしたが,緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し迅速に対応しえた.適切な症例の選択は必要であるが,胆嚢出血に対する早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術は迅速で低侵襲な根治的治療として有用である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2989