肝生検で高分化型肝細胞癌との鑑別が困難であった多発肝細胞腺腫の1切除例
症例は40歳代女性.検診の腹部超音波検査で肝血管腫が疑われ当科を紹介受診.造影CT検査で肝血管腫以外に多発肝腫瘍を認め,精査目的に入院となった.Gd-EOB-MRI検査では,S2, S5に腫瘤像が認められ,T1WIで低信号,動脈相で等信号,門脈相,平衡相及び肝細胞相で低信号であった.画像検査では確定診断に至らず,腫瘍生検を施行した.細胞密度の高い異型の乏しい腫瘍細胞で,肝細胞腺腫や高分化型肝細胞癌が疑われ,肝部分切除術と術中RFAを施行した.摘出標本の免疫染色にてliver fatty acid binding protein(L-FABP)の発現低下を認め,Hepatocyte nuclea...
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Published in | 肝臓 Vol. 56; no. 11; pp. 584 - 595 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.56.584 |
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Summary: | 症例は40歳代女性.検診の腹部超音波検査で肝血管腫が疑われ当科を紹介受診.造影CT検査で肝血管腫以外に多発肝腫瘍を認め,精査目的に入院となった.Gd-EOB-MRI検査では,S2, S5に腫瘤像が認められ,T1WIで低信号,動脈相で等信号,門脈相,平衡相及び肝細胞相で低信号であった.画像検査では確定診断に至らず,腫瘍生検を施行した.細胞密度の高い異型の乏しい腫瘍細胞で,肝細胞腺腫や高分化型肝細胞癌が疑われ,肝部分切除術と術中RFAを施行した.摘出標本の免疫染色にてliver fatty acid binding protein(L-FABP)の発現低下を認め,Hepatocyte nuclear factor 1α-inactivated type(HNF1α-inactivated type)の多発肝細胞腺腫と診断した.多発肝細胞腺腫は稀であり文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.56.584 |