乳癌骨転移に対するbisphosphonate長期投与に伴う大腿骨非定型骨折の1例

症例は64歳,女性.右乳癌T2N0M0(ER陽性,PgR境界域,HER2未検)に対して右乳房切除とセンチネルリンパ節生検を施行した.術後3年で傍胸骨リンパ節再発を認め,切除した.免疫染色ではER陽性,PgR陰性,HER2陽性(3+)であった.術後5年で胸骨転移を認め,ゾレドロン酸の投与を開始した.以降,左腋窩リンパ節再発と胸骨転移に対して,ホルモン療法,化学療法および抗HER2療法を続行し,ゾレドロン酸も継続投与した.投与開始から8年経過時に,右大腿の動揺を自覚し転倒した.右大腿骨骨幹部非定型骨折(atypical femoral fracture:AFF)の診断で入院,患側の骨折治療と,対側...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 12; pp. 2930 - 2934
Main Authors 足立, 祥子, 成井, 一隆, 山田, 顕光, 菅江, 貞亨, 市川, 靖史, 遠藤, 格
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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Summary:症例は64歳,女性.右乳癌T2N0M0(ER陽性,PgR境界域,HER2未検)に対して右乳房切除とセンチネルリンパ節生検を施行した.術後3年で傍胸骨リンパ節再発を認め,切除した.免疫染色ではER陽性,PgR陰性,HER2陽性(3+)であった.術後5年で胸骨転移を認め,ゾレドロン酸の投与を開始した.以降,左腋窩リンパ節再発と胸骨転移に対して,ホルモン療法,化学療法および抗HER2療法を続行し,ゾレドロン酸も継続投与した.投与開始から8年経過時に,右大腿の動揺を自覚し転倒した.右大腿骨骨幹部非定型骨折(atypical femoral fracture:AFF)の診断で入院,患側の骨折治療と,対側の骨折予防のために,両側大腿骨の髄内釘固定を行った.BP製剤によるAFF発症は極めて稀であるが,骨転移治療においてBP製剤を長期に用いる際は,AFF発症の可能性を念頭に置くべきと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2930