腹腔鏡下脾固定術を施行した遊走脾捻転の1例

術前に診断し,緊急手術として腹腔鏡下脾固定術を施行できた症例を経験したので報告する.症例は15歳の女性で,左側腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部造影CTでは脾門部にwhirl signを認め,脾が造影されなかったため遊走脾に伴う脾捻転と診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察したところ,脾臓は脾門部で180度捻転していた.捻転を整復したところ色調が改善したため,脾固定術を施行して脾を温存する方針とした.横隔膜下の後腹膜に切開を加えポケットを作成して脾臓を挿入し,腹膜と胃脾間膜を縫合固定した.退院時の経過観察のCTにても再捻転は認めず,術後1年8カ月後も問題なく経過している.本邦で捻転に対する...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 10; pp. 2544 - 2548
Main Authors 谷口, 弘毅, 井川, 理, 藤井, 宏二, 山口, 明浩, 柿原, 直樹, 阿辻, 清人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2544

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Summary:術前に診断し,緊急手術として腹腔鏡下脾固定術を施行できた症例を経験したので報告する.症例は15歳の女性で,左側腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部造影CTでは脾門部にwhirl signを認め,脾が造影されなかったため遊走脾に伴う脾捻転と診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察したところ,脾臓は脾門部で180度捻転していた.捻転を整復したところ色調が改善したため,脾固定術を施行して脾を温存する方針とした.横隔膜下の後腹膜に切開を加えポケットを作成して脾臓を挿入し,腹膜と胃脾間膜を縫合固定した.退院時の経過観察のCTにても再捻転は認めず,術後1年8カ月後も問題なく経過している.本邦で捻転に対する緊急手術として本術式を施行した報告は自験例が初めてであった.小児や若年者では脾機能温存のため,緊急手術であっても可能であれば腹腔鏡下脾固定術を考慮すべきと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2544