出血性ショック下に動脈塞栓術で完治した外傷性腸間膜出血の1例
今回われわれは,腹部鈍的外傷に伴う腸間膜出血が原因の出血性ショックに対し,動脈塞栓術で止血し完治した症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性.トラック運転中の追突事故で当院に救急搬送された.来院時は収縮期血圧175mmHgだったが,その後80mmHg台にまで低下,急速輸液2000mlにて100mmHgを回復した.腹部造影CTで回腸末端付近の腸間膜に造影剤の漏出を認めた.腸管穿孔や実質臓器損傷はなかった.その後再度血圧が低下したため輸血を行い,循環動態は回復した.transient responderのショックと判断し,緊急開腹術の準備も整えた上で,透視下に回結腸動脈末梢の出血部位を動脈塞...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 3; pp. 791 - 795 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.791 |
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Summary: | 今回われわれは,腹部鈍的外傷に伴う腸間膜出血が原因の出血性ショックに対し,動脈塞栓術で止血し完治した症例を経験したので報告する.症例は73歳,男性.トラック運転中の追突事故で当院に救急搬送された.来院時は収縮期血圧175mmHgだったが,その後80mmHg台にまで低下,急速輸液2000mlにて100mmHgを回復した.腹部造影CTで回腸末端付近の腸間膜に造影剤の漏出を認めた.腸管穿孔や実質臓器損傷はなかった.その後再度血圧が低下したため輸血を行い,循環動態は回復した.transient responderのショックと判断し,緊急開腹術の準備も整えた上で,透視下に回結腸動脈末梢の出血部位を動脈塞栓術で止血しショックを離脱,開腹手術を回避できた.その後は順調に回復し,入院後9日目で食事を開始,14日目で退院となった.transient responderの腸間膜出血でも,腸管穿孔や実質臓器の損傷がなければ,動脈塞栓術を行うことで完治できる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.791 |